スキャットの話
おはようございます、つけ麺のやめられないサトー@まくらことばです。
最近はオーダー時にチャーシューを抜いてもらっているので*1、心おきなくザバザバすすりあげています。
さて週末から始めて昨日の夜も引き続きやっていたのですが、いま私、ちょっとiTunesのメンテナンスをやっておりまして。
私はとにかく曲数を入れていけばいいという考えではなくて、全体では2~3000曲にとどめておいて中身を入れ替えていくという感じでアーカイブを作っておりまして、入っていない曲をCDから取り込んだり、「これはいいかな」という曲を削除したりしています。
ロック・ポップスはけっこう作業が進んだので、これからジャズに取り掛かろうかな、なんてところ。
作業自体はひたすらパソコンにCDを入れ、インポートが終わったら取り替えるという無音仕事なのですが、やはり盤を触っているとその音が脳内に再生されて、「ああ、これいい曲入ってるんだよな」などと思いながらの作業は、単調ながらどこか高揚する気分も味わえるものです。
そんな脳内再生を繰り返しながら、最近私、ちょっとボーカルをちゃんとしたいな、なんて思っておりまして。
今までは、まずもって自分は歌は下手だし、まぁそこで追求するものも特にない、というか単純にボーカルというパートを担当しているだけで自分をシンガーだなんて思ったことないんですね。
なんかさ、自分のイメージの中でシンガーって名乗っていいのって、例えば山崎まさよしみたいな人で、ああいうナチュラル・ボーン・ミュージシャンと言いますか、常にギターを抱えてて「じや、ここで一曲」なんて歌い始めるとすげぇ絵になる、みたいな人だけの気がして。
あとはそうだな、松山千春とか、先日亡くなったやしきたかじんとか、ああいう“トークからの歌”みたいな芸風がサマになる人じゃないと、「歌うたい」って感じがしないんですよね。
で、基本的に今もそのスタンスなんですが、技術面はさておき、どう歌うのかってのは聴く側からしたらすごく大きなことで。
少なくとも一生懸命やんなきゃ曲そのものが響かない、という当たり前のことに気づいたというか、上手くはできないけど自分なりに工夫の余地はあるんじゃないか、そんなことを少し思うようになりました。
なので音楽を聴くときも、曲や詞を味わうという通常の作法に加え、最近はボーカルというパートそのものを鑑賞する、みたいな意識がちょっと出てきたような気がします。
ということであれこれ盤をいじりながら、「この人の歌って素敵だよなぁ」なんて思っているのですが、そういう人には共通項があることに気づきました。
スキャットが上手いんですよ。
スキャットってね、それこそ歌の上手い人というか技術に自信のある人しかできない、チャリでウイリーするとかバック転するとか、それ系のエクストリームな技だと思われ、なかなか尻ごみして普通の人間にはできないんですが、決まったときの快感は、歌ってる側も聴く側もかなりのものがありますよね。
ということでまたこのパターンです、私の好きなスキャット3曲!
ANITA O'DAY - FOUR BROTHERS [Live Tokyo ...
スキャットはジャズ発祥の技巧ですから、まずはこの人を挙げざるを得ません、アニタ・オデイ。
あの小島麻由美にも多大な影響を与えた、偉大なるスキャッター(って言い方あるのかな)ですね。
いやぁこれはすごい、50年前の来日公演ですか、全編スキャットでバンドとの掛け合いも見事、ホント聴いてて気持ちいいですねぇ。
あのー、日本でジャズっていうと、難解なモダンジャズをしかめ面して聴くみたいな敷居の高いイメージがあるんですが、このアニタ・オデイだとか、もっと古いビッグバンドものとか、理屈抜きに聴いてて楽しいのもまたジャズって音楽だと思うんですね。
ドライブ中なんかでアニタ・オデイが「あんたはトップ、あんたは円形競技場、あんたはミッキーマウスよ!」なんて歌うのを聴いてたら、ホント、気分が晴れてくるもんです。
お次は天才ケイト・ブッシュのこの曲。
Kate Bush - The Saxophone Song - YouTube
えー、冒頭の音はカモメの鳴き声? 汽笛の音? とにかくSEでスキャットではありません。
この曲のスキャットはワンポイントで、1:11で聴けるやつです。
ワンポイントなんだけど、とにかく色っぽいというか艶がありますねぇ、憂いを帯びた「ダバダバドゥ」って、この時ケイトはまだ10代ですよ!
この曲が収録されたファーストアルバム「天使と小悪魔」(The Kick Inside)はですね、ちょっと次元の違う名盤ですので、どんなジャンルの音楽がお好きであれ、とりあえずお手元に置いておかれることをお勧めします。
天才ってこういうことかってのがわかりますので、ハイ。
で、最後は日本屈指のボーカリストの名唱を。
今はキリンジを脱退しソロ活動に邁進されている堀込泰行氏ですが、この方、かなりスキャットがお好きなんですよね。
この曲ではライブならではの疾走感ある感じで、かなり聴きごたえのあるスキャットが楽しめます。
そうそう、件のiTunesメンテナンス、結果的に一番曲数の多かったのはキリンジで、各々のソロも加えると堀込兄弟だらけ、というアーカイブになりました。
素晴らしい音楽をコンスタントに作り続けている堀込兄弟、私は日本の宝だと思います。
ということでスキャットの素敵な曲を楽しんできましたが、自分ができるかとなると、なかなか難しい技だと思っちゃいますねぇ。
やっぱりこれは巧い人限定の荒技ですから、私のような単なるボーカル担当者は手を出してはいけない領域の気がします。
なんだけどちょっとね、歌を頑張ろう、なんて思っている今日この頃です。
*1:えー、繰り返しになりますがサトーは肉が食べられません、単なる好き嫌いで。