The sense of danger
おはようございます、サトー@まくらことばです。
唐突ですが、「見る前に跳べ」というフレーズは、皆さんどこかで耳にしたことがあると思います。
岡林信康の歌にもあったし、その元になったのは大江健三郎の小説だと思います。
その大江の小説の元になったのが、20世紀の詩人W.H.オーデンの「Leap Before You Look」という作品で、この邦訳が「見る前に跳べ」なんですね。
私もこの「見る前に跳べ」という作品が好きで、というか若い頃からずっと頭の片隅にあって、折に触れて自分を点検する度量衡となっているのですが、私が好きなのは「見る前に跳べ」というフレーズではなく、それに先行する2行なのです。
Leap Before You Look
The sense of danger must not disappear:
The way is certainly both short and steep,
However gradual it looks from here;
Look if you like, but you will have to leap.
「見る前に跳べ」
危険の感覚は失せてはならない
道はたしかに短い、また険しい ここから見るとだらだら坂みたいだが
見るのもよろしい、でもあなたは跳ばなくてはなりません
(深瀬基寛訳)
最近本当に、冒頭の2行が身に染みるというかものすごく今の自分に大切なことを言っているような気がして、もしかしたらそれは子供じみたことなのかもしれないけど、「危険の感覚」を忘れないようにしなきゃいけないなって思います。
二十歳の人間が「見る前に跳べ」から感じることと、今の自分がこの詞から感じること、それはたぶん、同じようで全然違う種類のものなんだろうな。
そして“道”を「短く険しい」ととらえるのか「だらだら坂」ととらえるのかは、正しいとか間違っているとかじゃなく選択の問題で、人それぞれなんでしょう。
改めて、今日からまた「The sense of danger」を感じられるようにやっていきたいと思います。