誰かが来た道を行く
おはようございます、まくらことばの狂です(これ久しぶりだな)。
昨晩から今朝にかけてはまったくもって花冷え、本当に三寒四温とはよく言ったものですね。
昨日私はクルマでレコーディングに行く道すがら、ipodをシャッフルで聴いておりました。
そんでなんか無性にオアシスの「Don't Look Back in Anger」が聴きたくなりまして、「よし、Don't~が出るまで送り続けるぞ!」と手元の早送りボタンを押し続けた結果、3517曲中なんと157曲目にあのピアノのイントロが!
これけっこうな確率なんじゃないかなぁ、思わず嬉しくなってその後30回くらいリピートして歌い続けました。
なんかさ、あの曲って普通に名曲ってだけじゃなくて、90年代を代表する1曲って感じしませんか?
さてこの週末、まくらことばはレコーディングに精を出しておりました。
行ったのはADのベース録りで、ドラムの次に録るのがレコーディングのセオリーではあるのですが、追い込んで追い込んでえいやっ!というスタイルが好きな(笑)ADゆえ、ギターやピアノ、仮歌までが入ったトラックに低音を重ねるというプロセスで。
ADのお店にサトーが機材一式を持ち込み、エンジニア(といってもRECボタンを押すだけですが)を務めるというやり方で、比較的スムーズにいったと思うのですが、それでもやっぱり土日合わせて8時間近くを費やし、5曲のOKテイクを出すという成果を収めました。
改めて思ったんだけどね、やっぱりADのベースはいいですね。
昨年夏に作成したデモ音源は、諸所の事情によりサトーがベースを弾いているのですが、あたりまえだけど本職のベーシストのプレイは全然違う。
そう、ADにとっては今回が初めてのまくらことばレコーディングとなったわけですが、後々まで残る音を記録するというレコーディング独特の緊張感に戸惑いながらも、リハを重ねるごとに勘所をつかみ、最終的に素晴らしいテイクを残してくれたAD、なんかすごく頼もしく思えました。
ADってああ見えて実はバンドマン気質というかプレイヤー気質なところがあって、私だったら「まぁええんちゃいます?」というところも、「うーん、もう1回お願いします」となるんですよね、妥協がない。
あとメンバー同士で音楽の話をほとんどしないまくらことばにおいて、今回は「このフレーズどうかな」「ここは半音下げたほうが」「オクターブ上げてみようか」などといった、きわめて音楽的な会話*1が飛び交ったのも、特筆に値するでしょう。
ADと私が集まると、普段は脱線とどまることを知らないおしゃべりの応報となるのですが、ずっとやってたもんね真面目に*2。
これも吹雪様の入念な曲解釈を経たドラムトラックがきちんと用意されていたからでありまして、その場に彼はいなかったのですが、改めてバンドっていいなぁと感じたのでした。
それでですね、現在制作中のアルバム「枕じゃなくて招待状」なんですが……
今まで折に触れて「12曲」と言いふらしてきたのですが、結果的に11曲にしようかな、と。
いや、なんていうかな、作業を進めているうちに、今回の収録曲の基準というか、クオリティのハードルが見えてきたんですね。
そんで1曲、どうもそこに達しないというか、今回は収録を見送ったほうがいいかな、と思うようになりまして。
逆に言えばそれだけ曲の粒が揃ってきたということでもあって、このラインナップだったら、みなさんに楽しんでいただけるのではないかと思っている次第なんです。
ということで、収録曲と順番は以下の通り。
1 嵐の夜
2 Better Days
3 季節のはじまり
4 風は吹いたかい
5 関東文化系少女
6 灯台守
7 雨の喝采
8 誰も彼女がわからない
9 song to KO
10 街はにぎやか
11 ハッチバック
……どうでしょう、って知らない曲のこと聞かれてもわかんないよね。
えー、このうち昨年のデモ音源に入っていたのが2、3、5、7、11ですね、11についてはようつべにもアップされてる。
ですが当然これらも全曲録り直し、今の私たちの演奏でお届けします。
ライブで演奏したのは上記に加え6ですが、これ、音源化は初めてなんだよね。
なんだけどもはや定番化しているというか、まくらことばのスタンダードナンバーの風格ですな。
1と5は弾き語りなんですが、聴きどころはサトーの完全我流のピアノかしら。
なんせ自作曲を教材にイチから始めるというめちゃくちゃなやり方で覚えていったピアノですからね、「こんないい加減な奴いるんだ」と聴く者を勇気づけることができたらいいな、と。
それから以前の記事の注釈で「4曲目と9曲目がヤバい」なんて書いてましたが、1曲削って繰り上がったので8曲目になりましたけどね、この2曲はホントいいです、自信作。
4は、以前「4曲目の法則」なんて記事がありましたが4番バッターに相応しい曲だと思うし*3、8は問答無用のパーティーチューン(!)ですからね、ライブ映えする曲なんじゃないかと思います。
9「song to KO」は、コンセプトはディランの「ウディに捧げる歌」の真似っこなんですが、“KO”って誰のことなんでしょうねぇ……ってバレバレか。
そのほかにも聴きどころ満載なわけですが、最後11にまくらことばの出発点である「ハッチバック」をもってきたのもニクいよねぇ、我ながら。
ということで自画自賛するやつはバカだと言われれば返す言葉もないのですが、どうやら我々が今作っているのは名盤かもしれない、なんて思うんですよ。
っていうのがね、それこそ「すごいいい曲だね」ってメンバー同士で言いながら作業をしてるんだけど、そこに「俺達すげぇ、マジ最高!」的なニュアンスが一切ないんだよね。
ホントに今かたちを与えられつつあるこれら曲たちって、まわりのみんなに作らせてもらってるというか、僕たちを見守ってくれている人たちの思いを集めてかたちにしたものであって、それをたまたままくらの3人が手を動かしている、そんな感じがするんです。
もうこれは断言できるんだけど、この11曲はすべて、僕らの自意識の産物なんかじゃなくて、みんなの気持ちの集合体なんだよね。
8「誰も彼女がわからない」って曲は、宝島少女とかオリーブ少女とか、世紀末に少女時代を過ごした人のことをうたった曲で、「♪誰も通ったことのない道を進む~」って歌詞があるんだけど、いままくらことばが進んでいる道って、「これまでも誰かが通ってきた道」のような気がするって、昨日レコーディングやりながら思ってました。
その道って、おこがましいことこの上ないんですが、ビートルズとか、ディランとか、ビーチボーイズとか、サニーデイ・サービスとか、KO氏とか、ひょっとしてそういった人たちが通ってきた道なんじゃないかと思うんです、おそろしいことに。
思いっきり期待しててくださいね!