布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

【究極にダサい】 私が選ぶメタル10選 【だがそれがいい】

こんばんは。吹雪です。

のっけから一つの命題を掲げたいと思います。

ダサさの問題とはセンスの問題ではない。キャパシティの問題である。

 

 

 メタルウォリアーたち、私の兄弟よ。私は敵として立ち上がるのではない。

兄弟よ、私はこの胸の誇りを高々と掲げよう。その横溢するダサさ、もう少し何とかならなかったのか、という深い悲しみとともに。

知らないものがあることは、場合によっては恥ずかしい。

しかし、知っていること自体が恥ずかしい音楽が、この世界にはある。

目の前に続くのは、美しき、修羅の花道。

いざ、いかん。

 

 

あらためて問う。ダサさとはなにか。

 

B'Zだろうか。そうかもしれない。確かにダサいとよく言われる。

だが、はっきりと言っておく。

ビーズはまだかっこいい。まだ救いがある。次を聴くがいい。

 

 
ManOwaR - Hail & Kill - YouTube

言葉を無くしてしまう。

どうにもフォローのしようがないのだ。

全世界の兄弟よ。私を許してくれ。ここに断言せざるを得ない。とんでもなくダサいと。あらゆる細部にわたってダサく、救いがない。

 

しかし、改めて問いたい。いったいこのダサさはどこからくるのか、と。とことんダサい、麺固め、味濃い目、アブラ多め、男汁マシマシの濃厚な世界観の確立ゆえのダサさ。ダサいとは、こういうものにこそ向けられる修羅への花束なのではなかろうか、と。

 

 

 お次は、おしゃれの代表選手、みんな大好きイタリアから。ここにも修羅の道を行く、死に狂いの武者がいる。

 

 
LIVE}EMERALD SWORD (高画質&高音質) - YouTube

 

そう。ただただひたすらに残念なのだ。あのダンテとダヴィンチの国から、生まれ出たのがこれなのである。イタリアを侮辱するなと怒られても構わない。だが、このサビの歌詞をじっくりと味読してからにしてもらいたい。

 

For the king for the land for the mountains

For the green valleys where dragons fly

For the glory the power to win the black lord

I will search for the emerald sword

 

王のため、国のため、山(ふるさと)のため、

竜が飛び緑なす峡谷のため、

暗黒の王に勝利する栄光の力を求めて、

エメラルドソードをいざ求めん

 

もうだめだ。まずもって文法がむちゃくちゃである。これをいい大人が得意そうに歌っているのだ。しかも客に唱和させるこの出だしによって、バンドの代表曲が台無しとは、死に狂う修羅の道はまことに恐ろしい。

ああ、兄弟よ、剣を天高く掲げ、戦士の鎮魂を願おうではないか。イタリアという大地で、修羅の道を突き進んでしまった者たちへ。

 

悲劇はこれだけではない。

みんな大好き、おしゃれ王国北欧。美しきオーロラこそふさわしい極寒に輝く世界。ムーミンのすむフィンランドから。

 


Korpiklaani - Wooden Pints - YouTube

 

すべてにおいて完璧である。

ダサさの頂点と言っていい。

まず、なぜその位置でバイオリンを弾くのか。腹になにかあるのか。腹おさえないとどうかなるのか。

そして間奏部で肉の取り合いから喧嘩を始めるのも、ときどきチラチラ見える太ももの白さも、計算してやっているなら、その方程式はめまいを引き起こすはずである。一部の天才のみが許されたダサさ。そしてそれをやりとげる真剣さ。

そう。彼らはいたってまじめである。なんたって先祖がバイキングの国だ。私たちが江戸をなつかしむように、大切な伝統に回帰した、それだけのことなのだ。ここにはいたって真剣な政治的主張さえある。

だが、彼らの悲劇はそのまじめさによって幕を開ける。面白がるネット民とメタル兄弟によって、笑いを持って日本に輸入され、いまどき全曲に邦題がつけられてしまったのである。アルバムタイトルは『荒野のコルピクラーニ』。美しきナンバーは、無残にも下のリストの通りとなった。

 

1. サウナでひとっ風呂

2. 旅行けば

3. 燃えろ! キャンプファイヤー

4. 魔の森に立ち向かえ!

5. 森の中でハッスルハッスル

6. 大自然って気持ちいい

7. 「狩り」こそ漢の宿命

8. ビール飲み放題

9. 吐くまで飲もうぜ

10. 実録! フィンランド昔話

11. 悲しみのコルピクラーニ 

 

各題のセンスも問わないでおこう。その完成度のいまいちな感じも問わないでおこう。ただただ、わるふざけただよう雰囲気が、この修羅の道を行くバンドにふさわしいのか、その問いだけを残しておこう。

 

北欧にはまだある。かの美しき北欧が、これほどまでに罪深いとは。

 

日本が誇り、外国人が羨望のまなざしで指をくわえる存在、

そう、その名はニンジャ。またの名を隠密。

陰に隠れて秘密の任務を果たす、規格外のタフネスとクールな姿。これにあこがれる外国人は多い。

 

漢に生き、漢に死ぬ。この修羅の道をいくメタル兄弟たちにこそ、忍者を愛する資格を持つものではないか。そう、われら兄弟は真の忍者理解者であり、むしろ現代の忍者なのである。徹底してクール。徹底的に漢。その荒野の道をゆく姿をみよ。

 

 

 
Ninja Magic - The Way of Life - YouTube

 

その結果がこれである。

ヌンチャクやスノーモービルは問わないでおこう。

そのどんくさい走りも問わないでおこう。

ただ一つ言わせてもらいたい。

 

雪原に黒装束をきてどうする。

 

 

 

 あまりにも濃い内容にさすがの私も疲れてきた。今回はあとひとつだけ紹介しよう。

最後はブラジルから。

まずは最後まで、ストーリーを予想しながら観ていただきたい。

異端審問のように、純朴で優しそうな青年に詰め寄るメタラーたち。きっとこの青年はコカコーラの工場か何かで働いている肉体労働者だろう。この青年は毎日を疲れながらも大切に生きている。唯一の存在ではないかもしれない。目立たないかもしれない。ときには誰かに雇われて生きていることに嫌な気を起こしたりもする。そしてあたりまえのように一生を終える。ありふれた生き方かもしれない。しかし、誰もがやっている生き方だとしても、その一生の輝きは、スターの輝き以上の価値があるものなのだ。誰もがやっていることだとしても、簡単なことではないのである。

このPVは、その青年にメタラーが「正装」を施す。青年は反応しない。PVのつくりとして、青年もメタルに目覚め、音楽の楽しさに気づき、最後は一緒に踊り狂う姿を想像するだろう。とりあえず最後までご覧いただきたい。

 


Massacration - Metal is the Law - YouTube

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の結果に呆然とする方も少なくないだろう。異端審問に屈しなかった青年を、なんとバズーカで吹き飛ばすのである。

最低である。いくらメタルが好きだからと言ってこれはない。

節度を大切にし、音楽を愛する人には等しく愛情と尊敬を持たねばならないのだ。

そう、これは反面教師用のPVなのである。兄弟の中にもその深き愛ゆえに苦しみ、問題児となるものがいる。だからこそ本当の修羅の道を行くものが、その深き愛がゆえのあやまちを形にして教えているのだ。修羅の道を行くものは、愛に狂いやすいのである。

 

 険しき修羅の道をご堪能いただけたであろうか。

メタルを愛する者は、おそらく馬鹿げたことがやりたくてたまらないのだろう。いたずら好きのクソガキがそのまま大きくなった結果としてこの音楽があり、そこには他人の目を気にしていられない修羅の世界があるのである。

 この音楽を受け入れられるかどうかは、いたずらを楽しめるかどうか、そのキャパシティの問題だと言っていいのだ。

 

最後に一言だけいわせていただく。

 

だからメタルはかっこいい。誰が何と言おうと。