布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

ブリコラージュの話

おはようございます、与沢です。

あなたは、たった10万円の投資で毎月100万円の収入が得られる夢のようなシステムを知りたくありませんか?

選ばれた人であるあなたにだけこのシステムを伝授いたしますので、ぜひセミナー(参加費8万円)にご参加ください。

……と意味なくスパムメール風に始めてみました、改めましておはようございます、まくらことばのサトスです。

いやぁ、前エントリーの吹雪様の記事、おもしろかったですねぇ。

彼の性分がすごくよく伝わってくるし、あの思考様式が吹雪を吹雪たらしめているんだなと改めて実感。

あと彼は、サトーを評することにおいてはすでに一流の域に達しているということが怖いくらいにわかりました。

 

さて日曜夜、われわれまくらことばは、恒例のバンド練習を行いました。

今回のスタジオは、いつもの下北沢ではなく、吹雪様のお膝元・池袋。

城北方面にはあまり縁のない世田谷チーム*1ですが、この日は「夜のピクニック」と銘打って3人連れ立って山手線に乗り、登山パーティーよろしく不慣れな池袋へ。

途中少し雨に降られましたが、連休中日で浮かれた街を楽器抱えて進んでいけば、頭の中には♪街を背にぼ~くは行く~、と中村一義の「犬と猫」の一節が浮かんでくるのでした。

 

スタジオはいつもより少し広く、ドラムセットもなにやら豪華な一室で。

たまに環境を変えてみるのも悪くないなと思いながら、すでに11月突入ということで、かなりライブ本番を意識して練習を始めました。

かなりお披露目水準に近づいた曲もあれば、ますます混迷を極める曲もあり、最終的に果たして帳尻が合うのか、少しドキドキなサトーなのであります。

ま、ライブまであと20日ちょっと、夏休みでいえば*2お盆前のいまだ宿題の暗雲とは無縁な時期であってまだまだ余裕アリ、これからいじるとこはいじって調整していくことも可能なのかな、と。

 

あと今週はいよいよメンバー各人によるチケット手売り(という名の押し付け販売)が始まりますので、すでに完成している特典ステッカーとともに、あなたの街に営業活動に赴くまくらな面々*3なのであります。

 

さて、最近はライブとそれにむけての準備のご報告ばかりですが、連休終わりのメランコリックな昨夜、サトーは自宅スタジオ(という名の納戸)にこもり、ちょっと新しい曲の作成にとりかかってみました。

といっても、「こんなのどうかな」「あんな感じにしたいな」というとりとめのない模索を、ギター片手にあれやこれやというカンジで。

いくつか断片的な曲の要素が浮かんできたので、とりあえずノートにメモしておきました。

 

唐突ですが、みなさんは「ブリコラージュ」という言葉をご存じでしょうか。

wikiによりますと、「ブリコラージュは、理論や設計図に基づいて物を作る『エンジニアリング』とは対照的なもので、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ること」とあります。

要するに、選び抜いた素材でこしらえる「究極の一品」ではなく、冷蔵庫のあり合わせでこしらえるチャーハンとか焼きそばみたいなもののことでしょうか。

ちなみにブリコラージュする人を「ブリコルール」と呼ぶそうで、「既にある物を寄せ集めてモノを作る人」という意味合いだそうです。

このブリコラージュおよびブリコルールという概念、文化人類学あたりでよく使われる学術用語でもあるそうで、レヴィ・ストロースの『野生の思考』などに出てきます。

 

私ね、自分がきっちり理解しているかどうかはさておき、このブリコラージュという概念が好きで。

特に曲作りという局面において、大半の作業はブリコラージュであるべきだし、作詞作曲者はブリコルールであるべきなんだろうな、と思います。

まぁそれはね、「エンジニアリング」できるだけの素養とか体系を持っていないことに発する都合のいい考えかもしれませんが、自分の好きなものって、「最終的にこんなのできちゃいました」的な、作り手の意図とかけ離れたものにぐっとくる気がして。

というか、実はまくらナンバーとして日の目をみなかった曲ってのも結構ありまして、自分の中でボツにするかどうかってのは、「ブリコラージュ感」があるかどうかだったりするのです。

なんかね、「これは思った通りにできたぞ」って曲は息苦しいっていうか、メンバーや聴いてくれる人の解釈の余地がないっていうか。

ある個人の思惑に詞と曲がついただけ、一言でいうとつまんない。

それに対し、「自分でもなんでこうなっちゃったかわかんない」「思い描いていた着地点とは違うな」って曲は、その後バンドに持って行くと大化けしちゃったりするし、何度も聴ける曲になったりする。

「ブリコラージュ感」のあるなしって感覚とか勘の領域の話なんですが、ガイドラインとしては自分の中で絶対的なものだったりします。

 

だからとりあえず曲作りにとりかかったときは、使えるかどうかはわかんないけど、その辺に落ちてるモンを拾い集めて袋に入れておく。

ガキの頃、道端に落ちてるいい感じの棒とか意味なく持って帰ったりしてたじゃないですか、「敵が現れたらこれで戦えるかもしれん」とか言って。

そもそも敵ってなんだよ、って話ですが、「いつかなんかの役に立つかもしれん」という感覚はブリコラージュを誘発する最初の一歩だし、そこから起動したモノやコトって、生産性はなくてもすごく面白かったりした記憶も、どっかにあるのかもしれません(そういう記憶自体がブリコラージュかもね)。

少なくとも私は、「こんな素材で料理なんてできるか!」と大物を気取るのではなく、「その辺のあり合わせで何か美味いもんつくりますわ」というスタンスで曲作りに向き合えたらいいなと。

無粋ですがその辺の“ブリコルール志向”は、「ハッチバック」の「少し荷物を詰め込み過ぎたかな/でもどこかできっと役に立つかもしれないからね」という歌詞に表れているような気がする今日この頃です。

 

ま、要するにヴィジョンなきまま曲作りしてます、ってことで。

*1:狛江市在住のサトーが“世田谷チーム”を名乗る正当性について、ADより「(狛江の市外局番が)東京03なのでOK」との許可をいただいております。

*2:ライブまでの準備期間を夏休みに置き換えるというこの卓抜なアイデアは株主のませさんの発案ですが、8月25日あたりに暗黒のような気分で宿題に手を付け始めていたサトーにとって、この思考法は不安と面倒の先送りを誘発する可能性も捨てきれません。

*3:先日、あまりに物販の話ばかりのバンドマンらしからぬADとサトーのやりとりを目撃されたあるお方からは、「バンド名、“香具師ズ”に改名したら?」とご提案いただきました。