布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

やっぱキリンジ最強じゃね?

佐藤「いやー、カープ6連勝ですか。しかも巨人・阪神をそれぞれ3タテしての。まだ借金生活だけど、ようやくチーム全体が機能してきた感じがしますな」

サトー「うん、下馬評通りのね。やっぱりずっとPはしっかりしてたじゃん、打線なんて水物で好不調の波が必ずあるもんだからさ、いつか覚醒するとは思ってたけどね。まだまだ5月、順位とか気にすることもないんだけど、まぁ借金が減るってのは気持ちいいことだよね」

佐「で、カープが好調なのはいいんだけどさ、そうなるとわれわれの悪い癖というか、もうカープ一色になっちゃってさ、ひたすら野球観戦とカープ情報の収集に邁進してしまい世間と隔絶してしまうという」

サ「ホント、連休後半から昨日にかけて、ひたすら真っ赤な世界に閉じこもってしまったよね。いかんいかん、世間と隔絶してしまってはダメよ」

佐「とはいえここが序盤の大事なところだからね、来週も目が離せないよね」

サ「君なぁ、そう言ってる間に刻々と時間は過ぎて行くんだぜ。……どうしよう、曲がまだできないよぉ」

佐「何をいっちょ前のことを。あれじゃん、この前は進んでる、いい感じみたいなことを言ってたじゃないか」

サ「あのなぁ、芸術ってのは繊細な領域で創造されるの! 掴みかけたと思ったらふっと逃げていったり、ほぼほぼ完成が見えてきたと思ったら御破算になったり、それはもう人智では統御できないことなんだ」

佐「はいはい、言ってろよ。なんでもいいけどとにかくちゃんと曲作れよ、今回はいろんなもんと連動してるんだから!」

サ「そうなんだよね、その規模はさておき、業界的ビジネスモデルがわりとかっちり決まっているのがまくらことばなんだよね」

佐「ADがいるからな、うちは。でもさ、最近君、特に言いたいこともないいんだろ? だったらお題を与えられてそこから作る、ってほうが個人的にもいいんじゃない?」

サ「まぁそうあけすけに『言いたいことありません!』ってカムアウトする必要もないけどさ、確かにそれはそうで。うーん、言いたいことないっていうよりか、内容が変わってきたというか。ま、とにかく頑張るよ」

佐「……最近さ、改めてキリンジすげぇなって思うんだよ。時間が経てば経つほど滋味が増してくるというか、日本語のポップミュージックとして最強なのはやっぱりこのバンドだなって改めて思うことが多い」

サ「あぁ、『雨を見くびるな』とか1stに収録されてる曲だけど、何回聴いてもすごいもんね」

佐「シティポップとは何か、みたなことを考えた場合にさ、例えばお洒落な雰囲気だとか横っぽいグルーヴだとかいろんな解があるとおもうんだけど、このキリンジのさ、『特に言いたいことはないんだけど目茶苦茶手が込んでる』感じってのは不可欠な要素だと思うんだよ。この曲の歌詞に『低い温度でゆっくりと/僕らは火傷をしたんだ』とあるように、あくまで低温なんだけど、必ず聞くものに刻印を残す、というね」

サ「キリンジってのはさ、例えばサブカルであったりAORであったりってタグはつくんだけどさ、そういう記号に母屋が乗っ取られたことが一度もないわけ。純粋に音楽的完成度のみで勝負してきたし、そこで連勝を収めてきた。記号化されるってのはアーティストにとっては創造の翼をもがれるようなことなんだけど、同時に固定ファンというかある種のクラスタを獲得することでもあるわけだから、ビジネスとしてはすごくメリットがあることなんだ。下支えなき創造性なんてあり得ないわけで、これは『あいつらセルアウトしやがって』みたいにディスって済むような単純な話じゃない」

佐「キリンジってシーンの中心にいたこともないし、ある種のトライブの象徴であったこともない。でもアルバム全部たどっていって損のない、本当に稀有なアーティストだと思う。純粋に音楽の完成度だけで勝負してるからさ、好みの問題なんて軽く超越しちゃってるんだ」

サ「もちろん音楽って総合的な表現だからさ、音以外の要素がフックになるってのは大いにあっていいことなんだけど、やっぱりそれだと時間耐久性がなくなるじゃん。リスナーにとっては『私の青春』ってことで過去の話になっちゃうかもしれない。でもキリンジってさ、聴いててすっごく感動もするんだけどそれってすごく間接的な形式っていうか、ある種の情景とセットになって記憶されるような音楽だからさ、いつまでたっても色褪せないような気がする」

佐「このバンドを聴き続けて十数年、今もって新鮮というか聴くたびに何か発見があるよね」

サ「言いたいことがないっていうのは、ある意味強みというか、そっから始まる音楽が聴きたい、とすら思うね。……なに君は、まさかおれにキリンジみたいなのやれっていうわけ? 無理だよそんなの!」

佐「当たり前だよ、そんな無理筋言うわけないじゃん。まぁ君は君なりに頑張れば?」

サ「感じわるぅ!」