まくらことばの御神体
おはようございます、サトー@まくらことばです。
昨日のプロ野球ドラフト会議、わがカープは素晴らしい選手を多く獲得することができたようです。
すぐそこに迫った黄金時代到来の予感に、雨だらけの空模様も気にならないような朝を迎えております。
さて、今日はまずこの写真をごらんください。
はい、サトー愛用のアコースティックギター、ギブソンJ-50です。
このギターはですね、以前、「おれたちの御本尊は曲なんだ」みたいなことを書いたと思うのですが、御本尊たる曲を作る際に使用される神器、いわばまくらことばの御神体のような存在なんですね。
私が長いブランクの末にギターをまたいじり始めたのは昨年の初夏くらいだったと思いますが、そこからバンドを結成して本格的にやるぞ!となったのが2012年11月。
その時点で私、エレキギターしか持っていなかったのですが、曲作りをちゃんとやっていくならやっぱりアコギが必要だろうということになり、とりあえずハードオフで1万円くらいで売ってたエピフォンのアコギを調達してきました。
いや、作曲に使うのなんてエレキの生音で十分なんですが、やっぱりアコギのほうが雰囲気が出るというか気分が盛り上がるというか。
それに私、フレーズとかリフからじゃなくてコード進行から曲を作っていくスタイルなので、アコギのほうが使いやすかったりもするんですね。
で、弾いてみるとやっぱりアコギっていいんですよ……。
ホントにアコギ1本あれば音楽が成立するというか、眼前に世界がふっと立ち現れるような響きがある。
そうなってくると、私の度し難い性分がむくむくと起動しはじめまして、「もっといいアコギが弾いてみたい……」「いや弾かなきゃならない!」と性急に思いつめるようになってきたんですね、自分でもアホだと思いますよ。
しかもそんなことを考えるようになったのが時期悪く年末でありまして、サラリーマンの醍醐味であるボーナスなるもので、一時的かつ多少ですが、懐が潤っていたというタイミング。
「アコギってのは作曲に使うもので、高いやつを買ったとしてもそいつで名曲が生まれるのなら、すぐに減価償却できちゃうんだ」というわけのわからない理論武装をして、“一生モノ買うぞ”という決意を固めたわけであります。
余談ですが、狭い我が家にそんなに何本も置いておけないため、新たなアコギ購入に際して最初に買った安エピフォンを手放そうと思ったのですが、なんとこのギター、ボディにうっすらとうさぎのシルエットが浮かんでいるように見えるんですねぇ。
だもんで、これもうこの先弾かないだろうけど売っちゃうのはなんか忍びないなぁ、と思いましてゆさADに引き取ってもらうことにしたのですが、もろもろの経緯で、今は経堂の太田尻家さんで第二(中古だから第三かな)の人生を送っております。
界隈のみなさんに可愛がってもらって(ると思われる)、幸せなギターです。
でですね、私いつも衝動買いばかりで事前に比較検討ってやらないんですが、ちゃんとしたアコギを買おうと思ったら、まぁギブソンかマーチンだよな、くらいはざっくりと考えておりまして。
実はマーチンについてはその昔一本だけ持っていたことがあって、それはまぁ素晴らしいギターだったんですね。
じきに生活苦のため手放してしまったんですが、マーチンについては一応所有歴があると。
でもギブソンについては、エレキも含め今までに一本も所有したことがない。
そして決定的だったのが、私の最重要レコードである小沢健二「犬は吠えるがキャラバンは進む」のスリーブ写真において、オザケンがギブソンJ-50をつま弾いているんですね。
ラウンドショルダーのボディにナチュラルフィニッシュで赤いピックガードのJ-50を抱える青年オザケン……うーん、かっこいい。
よし、買うならJ-50しかないぜ、なんて思いながら、正月セールの楽器屋さんにふらりと立ち寄ったのが今年の1月ですね。
そしたらね、あるのよね、J-50が。
ワタクシ、頭の中で「減価償却、減価償却……」と呪文を唱え始めましたね。
でもまぁいきなり買うのもナンだから、姉妹品であるJ-45なんかも試奏させてもらったんだけど、やっぱりピンとこない。
で、本命のJ-50を抱かせてもらい、ポロンとつま弾いてみると……もうね、全然違うんですよ、「ああ、この子はおれのもとに来たがってる」ってすぐにわかるような音色がしてね。
しかも普段は手が出ないような値段のJ-50が、ちょっとした中古品くらいの値付けになっている。
なんかいわく付き物件かと店員さんに聞いてみても、「いえ、純粋にセールで安くしてるだけです」とのこと。
実際どこをどう見ても、瑕疵のない商品だし。
こりゃもう、清水の舞台から飛び降りて複雑骨折しても買うしかなかろうと。
J-50なんですが、最大の特徴は一般的にアコギでは固定されているブリッジの高さが調節できるという、アジャスタブル・ブリッジにあります。
高さが調節できるという機能そのものより、ブリッジの形状と材質(セラミック)がこのギターの音色を決定づけているように思いますね。
よくJ-50の音の特徴を“パーカッシブ”と表現したりしますが、まさにその通りで、どーんと前に出て来る低音域は、ザクザクとしたストロークやカッティングに非常に向いたギターだと思います。
またジェームス・テイラーのようにフィンガーピッキングにも意外と向いておりまして、マーチンのようなきらびやかな高音域はないものの、繊細さと迫力のバランスされた音色が飛び出してきたりも。
実は私、試奏段階ですごく気に入ったものの、いざ持ち帰ってみると、ちょっとうまく鳴らすことができなかったんですね。
その後、ブリッジのセッティングとか弦の銘柄、ゲージなんかを試行錯誤して、ようやくこのギターを気持ちよく弾くことのできる状態が見えてきました。
ちなみに弦はエリクサーのカスタムライトを張っていて、テンションも音色もこれが私には一番しっくりくるように思います。
エレキについてはね、まぁルックス要素がすごく強いし、自分の性格を考えるとこの先もブームがころころ変わると思うんですが、アコギについては、ホントにこのJ-50を一生モノとして使っていきたいなと。
減価償却については、あとアルバム2枚分くらいこれで曲を作ったら、まぁ達成できるのかな、なんて。
このJ-50とともに、いい曲を作っていけたらな、と思うサトーであります。