布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

CM談議 広島ローカル編

佐「いや、この企画なかなか楽しいね、いくらでもおかわりできる感じ」

サ「でしょ。で、KJHSくんからリクエストもあったことだし、広島ローカル編いってみますか」

佐「やっぱ不可避だよな。あ、始める前にちょっと言っておきたいんだけど、広島ってのはね、文化の自給自足ができる最小の文化圏なんです。だから東京文化の影響がないのはもちろん、関西文化圏の影響も意外とないんだよね」

サ「そうなんです。地理的に近い四国とかはさ、言葉も含めかなり関西文化が色濃いよね。かといって広島文化圏は他に波及するほど強力でもないから。四国だけじゃなくてお隣の岡山県とかも関西文化の影響強いよね、カープファンより全然タイガースファンが多い」

佐「だから広島文化ってのは、全国的に見てもかなりガラパゴスというか、独立したものであることを前提にしてほしいですね、固有種の宝庫なわけ。じゃあ行ってみよう、一発目は広島県民にとってのテクノミュージックから」


株式会社ヒロツクなつかしのCM - YouTube

サ「海の中ってテーマでローカル音楽家が作ったんだろうね、たまらんクオリティだわ」

佐「そんでさ、その海の中感が微妙にズレてるっていうか、ちょっと宇宙行ってるでしょ? あの『ワレワレハ』とかベタな宇宙観。異世界=宇宙っていうあまりに無邪気なこの感じに引っ張られてさ、ナレーションもちょっとよくわからないとこに着地してるよね」

サ「そんでこれ改めて見ると、絵が雑だよね(笑)。マジックの線とかいい加減でさ、誰が描いたんだっていう。たぶん社内の絵が上手い子に描かせたとかそんなレベルだよね」

佐「あとこれ、静止画をカメラワークでアニメ風に見せるという泣けてくるような荒業を使ってるんだよね。もうヤヌス・カミンスキーも真っ青だよ」

サ「いきなり強力なのが来たから、僕も強めでいくわ。夜中の定番のコレで」


己斐オートバイセンター - YouTube

佐「ヒロツクが広島県民にとっての最初のテクノ体験だとしたら、これは最初のヒップホップ体験だろうね。でもこれ、映像はわれわれが観てたころと違ってるな、つまり音楽はそのままに画だけ更新されてるってことかな」

サ「われわれの頃はガチで黒人ラッパーが出てなかった? それこそギャングスタラップの原初体験だよ。でこれさ、途中でライムする内容がなくなって『売ります買います』の繰り返しになるところがいいよね、リリックのネタ切れ」

佐「なんだけどこの映像では『URIMASU! KAIMASU!』なんてなってるね、開き直りもいいところだ」

サ「こういう力業を平気でぶっこんでくるのがローカルCMの特徴だよね」

佐「じゃあおれは、ローカルでも完成度の高いモンが作れるんだという物件を行こうか。


TSS味なプレゼント「むさし」 - YouTube

サ「いやー、いつ観ても小気味いいよね。音楽とナレーション、そして田中支配人の掛け合いが最高だよ。これは完成度高いよね」

佐「でもさ、これ冷静に考えたら何のコマーシャルなのかよくわからないよね。むさしってのは広島人のソウルフードとも言われる超有名店なんだけど、これむさしのCMじゃなくてTSS(フジ系列のローカル局)のモニター募集で食事券が当たるってことなんだよね」

サ「なんだけど県民の多くはこれをむさしのCMだと記憶収納してるだろうね。だってむさし以外のバージョンって観たことないもん」

佐「ついでに言うとむさしもこの土橋店いろりやだけなんだよww 田中支配人っておれらがガキの頃から出てたからさ、今いくつくらいなんだろうね、とっくに定年退職してるはずだよな」

サ「今いくつなんだろうね問題を言うんだったら、次に紹介するのが最たるモンでしょう。絶対鬼籍に入ってるよ、この家具職人」


府中家具会館 - YouTube

佐「これはわれわれが生まれる前からやってて、その時点ですでに爺さんだったからな、絶対明治生まれだよこの人。なんだけど何これ、URL追加してるってことは最近もまだ使ってるんだね」

サ「この異常な物持ちの良さがローカルCMの特徴だよね。どんだけ引っ張るんだろう」

佐「ちなみに岡山出身でわれわれより7つ年下のデザイナーさんに聞いたら、彼もこのCM知ってた。そんでなんで引き出しを閉めたら隣の引き出しが開くのか不思議でしょうがなかったって言ってた(笑)」

サ「確かにあれ謎だったし、何の意味があるんだろう、むしろ不便じゃねって思ってたよね。でも必ず家の引き出しでやったよね、『府中家具』って言って」

佐「この引き出しのくだりは広島あるあるでは横綱級だよね。じゃあ最後に広島最強のあれいっとくか」

サ「あれね。広島人なら歌詞・メロディともに寸分の狂いもなく歌えるあれね」


お好み焼き 徳川(広島ローカルCM) - YouTube

佐「これも完成度高いよなぁ! 改めて名曲中の名曲だわ。これ歌ってるのはダーク・ダックスかな。だとしたらTSSの朝の放送開始時に流れるテーマソング『もしも・ひろしまに』と同じだよね」

サ「そうだね、ダックスの可能性高いな。そんで歌詞が飛躍してるのが昔から不思議だった。お好み焼きのこと歌ってて最後『友達たくさんつくりましょう』だからね、えっ、急に何? って思うよね」

佐「最後に『東洋観光グループ』ってポン付けされてるけど、あれはわれわれの時代はなかった。あれを知ってる世代がおれたちにとってのニューカマーだな」

サ「まぁでもこの歌はね、広島県に5年以上居住したことがある人なら確実に歌えるよね。コンパクトでキャッチーだもん、ホント名曲だよ」

佐「こうやって観てくると、単に懐かしいってだけじゃなくてやっぱり面白いよね。ツッコミどころが多すぎる、恐るべきツッコミビリティ物件ばっかりだよ」

サ「こんなのを浴びるように観てたからさ、そりゃ都会育ちとは良くも悪くも違う風にはなるわな。他にも紹介しきれないくらいヤバい物件がいっぱいあるもんね」

佐「今は広島も、というか広島に限らず日本全国がさ、ナショナルチェーンばっかりになっちゃったじゃない。こういった地場の企業のCMってだんだん減っていくんだろうね」

サ「こういったCMは東京の広告屋には逆立ちしても作れないんだからさ、ともしびを絶やさないでほしいもんだよ」

佐「ということで最後ちょっとしんみりして締めることにします」