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布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

魂の宿るモノ

おはようございます、まくらことばのパフォーマー、KYOSUKEです。

昨夜の雨は雪に変わって朝の混乱を巻き起こすかとも心配しながら寝床に入りましたが、どうやら雨雲はそのまま東京の空から離れていったみたいですね。

結果として適度な湿り気がもたらされたのか、身の回りで帯電しまくっていた静電気が少し落ち着いてホッとしている朝です。

 

さて、今年に入ってからのささやかな楽しみとして、会社の机に置いてある日めくりを毎朝更新することがあります。

この日めくりはもちろん、経堂の文具店ハルカゼ舎さん謹製の逸品で、愛用されている方もたくさんいらっしゃるかと思います。

毎日のカレンダーに添えられた言葉は、ハルカゼ舎店主・ませさんによるもので、季節感あふれるものから身の周りのちょっとしたこと、時には戒めともとれる言葉が並んでいて、「ああ、今日はそんな感じだよな」とか、「おっ、気を付けなきゃ」とか、はたまた「そう来たか!」と意外性を楽しんだり、毎日を少しずつ色づけてくれています。

この日めくり、すべてませさんの手作りでありまして、私もお店に遊びに行った際、カレンダーづくりに励むわがバンドの株主様の姿を昨年秋ごろから度々見かけましたが、なので当然、単なる製品を超えた何かがこの日めくりカレンダーには宿っていると。

いや実際、この日めくりには現実形成能力が備わっているとしか思えないんですよ。

以下、その話。

 

私ですね、お正月に、まぁ目標って感じでもないのですが、「今年こそ腕時計を修理に出す!」と決めて、1月の第2週かな、下北沢の以前からお世話になっている時計屋さんに預けたんですね。

この腕時計、古いセイコーの手巻き時計で、たしか8、9年前に買ってすごく気に入っていたのですが、ある日いつものようにねじを巻いていたらゼンマイが切れてしまいまして。

それで一度修理に出そうと遠方の時計屋さんに相談に行ったのですが、何せ50年くらい前の古い物なので部品入手が極めて困難、時間も料金もそれなりにかかるよ、お金貯めてもう一度おいでと言われ、結局そのまま放置していたんですね。

だから6、7年間止まったままだったのですが、携帯を持っていれば腕時計は機能的には不要なわけで、時計なし生活を長い間続けていたと。

 

なんですがやっぱりこの時計のことはずっと気になっていて、せっかく惚れこんで買ったのにもったいないし、何より腕時計っていいよな、と改めて思い直して修理に出したんです。

そんでね、時計修理ってのがまた魑魅魍魎の世界なんですよ。

ネットで検索したらわんさか修理しまっせ!という広告が出て来るわけですが、どれもなんか怪しい。

1、2年前くらいかな、雨後のタケノコみたく「貴金属買取ります!」みたいな店がいっぱいできたじゃないですか、あの手と同種の胡散臭さすら感じられるんです、とりあえず電話ください!ってフリーダイヤルの番号があるけど店の住所が記載されていないとか。

一方で、こだわりの時計職人みたいな人もいて、そういうところに頼めば安心なんだろうけど、時間とお金が途方もなくかかる。

うーん、どうしょうかと思っていたところ、そういえばこの時計のオーバーホールを一度お願いしたことのある、下北沢一番街の玉屋さんがあったじゃないかと思い出したんですね。

この玉屋さん、ホントに商店街の老舗時計眼鏡店という佇まいで、派手な広告などは行っていないのですが、実に丁寧な仕事をしてくれるお店なんです。

ご主人も寡黙な方で、かといって演出過多な職人オーラもない実直な方なのですが、今回も「わかりました、やってみます」という感じで引き受けてくださいました。

実際、50年も前の手巻き時計の修理とか、どこに頼んでも「う~ん、難しいねぇ」と言われるものですが、本当に淡々と。

 

それでですね、「ちょっとお時間いただきます」と言われてはいて、私のほうも「構いません」とお答えしていたのですが、内心「まだかな、まだかな」と学研のおばちゃんを待望するような気持で過ごしていたわけです。

それで昨日の朝、いつものように日めくりをぺラッとはがすと「修理して大切に使う日」。

おや、これはもしかして……と思ったら案の定、午後に電話が鳴って「修理できました」とあのご主人の声がしたのです。

早速昨日、仕事終わりに玉屋さんに引き取りに行ったのですが、「そうそう、この動きだった!」という機械式時計特有のリズムが、わが愛機に久かたぶりに復活していました。

ちなみに料金は、「えっ、ホントにそれでいいんですか!?」という良心的なものでした。

 

あのねぇ、やっぱり心をこめた仕事って、必ずモノに魂を宿すことになるんですよ。

まずもって昨日の日めくりにあの言葉があったから、何よりませさんが心を込めて作ったから現実が引き寄せられたわけで、あのタイミングで修理が上がったのは決して偶然なんかじゃない。

そして時計屋のご主人の、プロとしての確実な仕事。

いやね、私のと同じ時計を「修理実績」としてネットに公開されている職人さんもいらっしゃいますが、それくらいこの古い時計を直すってのは大変なことなんです。

正直、同じようにネットかなんかで紹介すればお客さんが殺到すると思いますよ、だってネットで見つかるような「こだわりの時計職人」の方って、1年待ちとかザラですからね。

なんだけどそれを本当に淡々と、私が思っていたよりもずっと短期間で仕上げてくる。

再び鼓動を始めたこの時計には確実にご主人の魂が宿っているし、それをはめている私は、言いようのない満足感と喜びに充たされています。

 

いやホントにね、心を込めた仕事によって作られたり修理されたモノって、魂が宿るんですよ、スピとかそういう話じゃなくて。

それで魂の宿ったモノは、現実を作り出してしまう力があるんですね。

そういうモノを身の周りに置くと、私たちに小さいけれど確かな幸せ、そう、村上春樹言うところの小確幸を生活にもたらしてくれるんです。

なんかね、これからも少しずつそういうモノを集めていきたいし、願わくばまくらことばのアルバムも「物魂」の宿る盤にしたいなと、2人の仕事に触れて思ったのでした。

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