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布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

東京山の手夜散歩

昨日夜、仕事終わりに会社の近くのサブウェイに行って軽く食べた後、梅雨時とは思えない涼しい風に誘われて、夕暮れの街を歩いてみようと思い立ちました。

 

まずは北の丸公園を左手に見ながら九段坂を上り、内堀通りイギリス大使館方面に左折。

このあたりは大学の校舎やオフィスビルが立ち並び、夕方以降は静かなエリアですが、実は病院や官舎など、生活に密着した建物もあったりします。

ただこの道を真っ直ぐ行っても、景色は良いのですが散歩的には旨味がないので、歩道橋を渡って番町方面に進路を変えます。

番町はおそらく日本でも最古の高級住宅街で、有名な番町小学校は多くの文化人、政財界の要人を輩出しているところ。

近年はお屋敷が減って高級マンションが増えてきましたが、それでも静謐な空気の漂う、風格ある街並みが続きます。

このあたりは坂と一方通行が多いので車での移動はなかなか難儀ですが、散歩するにはうってつけのエリアで、歩くたびに新しい道との出会いがあり、印象深い建物を見つけることができます。

 

番町を抜けると麹町へ。

麹町は何といっても旧日本テレビ本社の印象が強いのですが、それは私が子供時代、毎日「ズームイン!! 朝!」を観ていたからでしょう。

ああ、おれもいつか東京に行ってマイスタジオの外から映り込んでみたいと思ってたなぁ。

麹町の日テレは今でも収録などが行われているようですが、どこかひっそりとした雰囲気。

現在の社屋は1982年に出来たものだそうですが、そうなると私の少年時代を彩った娯楽の王様であるテレビ番組が作られていたのはまさにこの麹町のスタジオなんですよね。

最近日テレの番組って何か観てるかなぁ……「ガキ」をようつべで観るくらいで、あとは何も観てないなぁ、野球もほとんどやらなくなったし。

テレビは今も日本国民にとって圧倒的な影響力をもつメディアだと思いますが、往時の勢いというか、家族そろってテレビ番組を夢中になって観ていたあの感じはなくなってしまいました。

昔のフジテレビがあった曙橋もそうですが、麹町もかつての熱気がふっと消えて、そのまま時が止まったようなような雰囲気の街です。

 

麹町をしばらく歩くと大きな道が見えてきて、ああもうここは四谷の街なんだなと気付きます。

昨日は気分的に新宿方面に足が向かなかったので四谷大木戸の方へは行かず、上智大学の脇道に突入。

1960~70年代に建てられたであろう風格を漂わせるビルの谷間を抜けて、ホテルニューオータニの入口に出ました。

ニューオータニといえばあの回転するブルースカイラウンジで有名ですが、この建物も1964年竣工ということで、50年以上の歴史を持っています。

このエリアはおそらく、60年代とそんなに雰囲気が変わっていないのでしょう。

 

ニューオータニを左手に眺めながら弁慶掘に沿うように坂を下ると、赤坂見附の大きな交差点に出ます。

交差点を渡って賑やかな歓楽街は、赤坂の街。

とはいっても、歌舞伎町や池袋西口の猥雑さとは一線を画す、大人の歓楽街といった雰囲気です。

赤坂はかつて、ディスコ「MUGEN」やナイトクラブ「ニューラテンクォーター」などの伝説的な店があったことで知られる夜の街ですが、最近はどうなんですかね?

少なくとも私の周りでは「昨日は赤坂で遊んじゃってサ」みたいな人は皆無ですが、いわゆる業界人の方々も最近は赤坂ってあんまり行かないのかなぁ……。

六本木や西麻布、恵比寿などに比べ、赤坂の昭和感ってやっぱりすごくて、いまだに「おれにはまだまだ早いナ」という背筋の伸びるような緊張感が感じられます。

とはいっても丁寧に路地を探っていけば、それなりに入りやすそうなお店とか、新しくできたっぽいいい感じのお店も点在していて、赤坂って結構今面白いのかも、なんて思いました。

イリーガルでアウトローな怖さはないのですが、大人の世界のルールみたいなのは厳然とあって、銀座みたいな「天下獲ったる」的野心もあまり歓迎されないクールな感じの街、とでもいいましょうか。

うん、今度勇気を出して、赤坂に飲みにいってみようかしら。

 

赤坂の街中を青山方面に折れると、たいがいの道は上り坂となり、お店が減って住宅街に切り替わっていきます。

私が昨夜選んだ道もそんな感じで、次第に静けさを取り戻していく道端には、戦前の戸建住宅も残っていました。

左手にTBSのビッグハットを見ながら坂を上りきると、急なことで有名な薬研坂から延びる通りに。

通りを渡ってさらに青山方面に路地を進むと、一帯は完全な住宅街になっていきます。

このエリアはニュー赤坂コーポラスや、あの力道山がオーナーだったリキマンションなど、1960年代に建てられなお現存するヴィンテージマンションの宝庫です。

私はヴィンテージマンションが好きで、その発見は街歩きの大きな楽しみの一つなのですが、やっぱりこのエリアは格が違う。

近年、こういった築50年クラスの建物がどんどん取り壊されているのですが、このエリアは道が狭く坂が多いことが幸いしてか、まだまだ昭和の建物が多く残っています。

 

赤坂の住宅街を抜けると、外苑東通りに出て、すぐに青山一丁目の駅が見えてきます。

涼しさに誘われて歩き始めましたが、距離の割に急坂の多かったせいかじっとりと汗ばむくらいに。

そろそろ歩き疲れたこともあるし、青山一丁目駅からいつもの地下鉄に乗りました。

 

昨日歩いた一帯は、大学時代は授業をサボって、書店アルバイト時代は本の配達で歩き回っていたところばかりで、私にとっては20年来の思い出深い場所ばかりです。

それゆえに、建物を中心に街が変わってしまった様子もそれなりにわかって、好きな建物が取り壊されていたりすると残念にも思うのですが、いまだに昭和の面影が感じられるのもこのエリアの特徴です。

郊外電車のターミナルの街や下町の商店街なんかもいいですが、やはり山の手ならではの緊張感というか風格のある街並みと雰囲気は他にない魅力があります。

こうやって東京の中心を歩いていると、この街で連綿と続く人々の営みの延長線上に立っているようで、一人で歩いているのに一人ではないような、歴史と自分の今いる場所がつながっているような感覚にとらわれるのです。

かつてのように何を見ても感動、という季節はとうに過ぎ去ったものの、やはり私は東京の街が大好きなんだと再確認した夜でした。