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布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の話

サ「はぁー」

佐「どうしたの、月曜の朝からため息なんかついて。てか月曜の朝だからか」

サ「いやね、土曜日に『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』やったじゃないですか。ということは当分あの番組はないってことだよね」

佐「ああ、そのこと。確かにあの番組ってよくわからないインターバルだが、結構長いよね。さすがに準備というか下調べが大変なんじゃないの」

サ「いやー、今回は北海道が舞台ということで、いつものナントカ営業所とかナントカ総合病院行きを刻みながら進む……って感じじゃなく移動が大味で、なんだか『水曜どうでしょう』のサイコロの旅みたいでもあったが、それでもやっぱり面白かったよね」

佐「そうね、今やあの番組もフォロワー続出でどの局も同じようなことやってるけど、やっぱり全然別モノだね、面白いのはテレ東だけだわ」

サ「あの番組、何があんなに面白いんだろうね?」

佐「やっぱりさ、ルールと目的が明確でわかりやすい、そいでたぶんガチンコってところじゃない、単純に。ただ、旅番組にある種のゲーム性を加えるってのはこの『土曜ビッグバラエティ』の枠ではけっこうやってるんだよな他でも」

サ「ということはやはり、キャスティングの妙ということになるよね。よく言われるけど、蛭子さんのクズっぷりが面白いという」

佐「それね、確かにそうなんだけど、あの人はどの番組でも基本同じじゃん、なんだかんだ言って20年以上ほぼほぼ売れっ子状態なのに、いまだに芸能人じゃなくて漫画家がテレビに出てるというスタンス。テレビ的なルールを内包してないからね」

サ「すごいよね、あんだけ長きにわたってテレビに出続けてるのに確固たる業界のストレンジャー。となるとやっぱり、太川陽介との組み合わせによってあの面白さは出てくるのかな」

佐「そうだと思うよ。たぶん最初は、無難なキャスティングとして太川陽介を選んだと思うんだ、旅番組の出演者としては定番だから。そんでそこに蛭子さんと女性ゲスト、マドンナを組み合わせるというのも、まぁわりと有り体な企画の発想だったと思う。でも偶然ってやつは恐ろしいね、この組み合わせがとんでもなく面白かったんだから」

サ「意図してできるキャスティングじゃない。太川陽介自身が、あの番組によって自分でも気づいていない一面を発見し、成長していったんだと思う。『水曜どうでしょう』がなんであんなに面白かったかというと、あれは大泉洋の成長物語という裏ストーリーがあったからじゃない? 『路線バス』も実は、太川陽介の成長物語を観る楽しさが本質なのかも」

佐「大泉洋の場合は始めたのが若かったからさ、まさに青年の成長だよね。でも太川陽介は、中堅~ベテランという立ち位置で、元アイドルという微妙な存在だった。そういう、従来の見方では“やや詰んでる”芸能人が、若さを失ってから輝き始めたという奇跡のようなストーリー。これがあの番組の面白さの神髄だと思うね」

サ「太川陽介はこの番組に人生を賭けてた、とかじゃなく、よくある仕事の一つとして引き受けたんだと思う。でもパートナーの蛭子さんがあまりにもクズすぎたから、ゴールを目指すうえでも、マドンナを守るという意味でも、自分がしっかりしなきゃ番組が成立しない。成長せざるを得ない状況に直面したんだよね」

佐「この番組はガチだから面白いってのはルール的な意味だけじゃなくて、そういう人間模様がガチってことなんだよね」

サ「人間っていうのは中年を越えてしまってもまだまだ成長できるんだ、大概のことは見聞きしてきた年功を積んでもなお、バスが繋がったくらいの、名声やお金とは無縁の些細なことで心から感動できるんだという可能性みたいなもので、あの番組は充たされているんだよね」

佐「だからマドンナのキャスティングも絶妙じゃないですか。今売り出し中の可愛い娘とか売れっ子はあんまりいない。むしろ『ああ、久しぶりに見たなぁ』くらいの感じの中途半端な女優、タレントばかりで。でもね、彼女たちがあの番組に出るととんでもなくいい女に見えてくるんだよね」

サ「すごいよね、その輝きたるや。昔はテレ東って三流ってイメージが強くてさ、そこに出る芸能人も、『この人も落ちたなぁ』って感じがしたじゃん、『テレ東に出るようになったか』みたいな。でもテレ東が素晴らしいのは、そんな状況を逆手に取って、他局では作れない番組をブレずに作り続けたことだよね。一流を目指すんじゃなくて、“一流の三流”を目指すって言ったらレトリックが過ぎるかもしれないけど」

佐「旬とか盛りが過ぎても、人生は長く続いていくわけですよ。そんでいろんな経験を積んでもなお上手くいかないことばかりだし、ダメージを喰らったりもする。だからこそいくつになっても、一生懸命ささえあれば人は成長できるってこと、そしてそれは感動的だってことを、あの番組は証明してるよね」

サ「そしてもう一つ、チームの中にどうしょうもない人がいるってのは、足を引っ張ることにもつながるわけだけど、成員のパフォーマンスを劇的に向上させるという教訓ね。優秀な人ばかり集めたって上手くいくとは限らないし、仮に上手くいってもメンバーが成長するかどうかはわからない。むしろダメな人がいることの効用というものに着目したほうがいいんじゃないか」

佐「なによりダメ人間をどうするかってのは見ていて面白いよね。もちろんダメ人間含め、ゴールを目指すという一点で一致していることは大前提なんだけど」

サ「ということでまた半年くらい待つことになると思いますが、第21弾を心から期待しております」