布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

中納良恵『窓景』ツアー行ってきた!

3月10日夜、冬に逆戻りしたような寒風吹きすさぶ中、東京グローブ座中納良恵「窓景」ツアー東京公演を観に行ってきました。

 

まずはグローブ座というハコについて。

ここは名称からもうかがえるように基本的には演劇用のハコで、近年ではJ事務所御用達の劇場としても知られています。

コンサートも開かれているようですが、私は初めて。

円形の客席からの独特の眺めもさることながら、音響がいわゆる音楽用のハコとはやっぱり違っておりまして、どーんと音圧にやられるというよりは音に包囲されるというか、独特のサラウンド感がたまらない会場です。

 

劇場仕様の2階席は視界良好、高まる期待にワクドキで待っていたら客電が落ち、白いガウン(?)に身を包んだよっちゃん登場!

けったいな衣装着とるなーと思っていたら、そのガウンにはサンプリングパッドが仕込んであって、各所を叩くとアサインされた音が出る仕組みだったんですね。

でも、アクションとともに白いガウンでキメポーズを作る姿は応援団みたいで、やっぱりこの人ぶっとんでるわーと思った次第です。

 

本編に突入すると、ルーパーを駆使した実験的な曲もあれば、バンドサウンドの力強いアレンジ、ピアノ弾き語りやギター弾き語りまで実に多彩なメニューです。

セットリストがないので詳しく追うことはできないのですが、印象に残った曲をいくつか。

やっぱり『窓景』も好きなんですが、『ソレイユ』をここ5年くらい聴き続けていたこともあって、同盤からの曲が沁みましたね。

「あくび」の牧歌的なパーティー感、「しずく」のしっとり感、そして「ソレイユ」の切なさ、どれも良かったなぁ。

何を置いてもやっぱりよっちゃんは歌、ヴォーカルが圧倒的ですね、ホントに素晴らしい声の持ち主です。

個人的には日本でナンバー1のヴォーカリストだと思いますけどね。

そんでピアノの腕もすごいんですよ、ピアニストとしても一流。

 

他にもギャートルズのエンディング「やつらの足音のブルース」とか、久保田早紀の「異邦人」とか、エゴの「色彩のブルース」とか、意表を突く選曲もあって楽しめました。

彼女が「今日はせっかくですから好きなことやらせてもらいます、ジャイアニズムです」と言っていたように、まったく遠慮のない中納良恵ワールド全開でしたが、われわれファンはそれこそが観たかったので皆大満足だったと思います、うん、終演後みんないい顔してたもんな。

ラスト、アンコールは『窓景』随一のエバーグリーンナンバー「濡れない雨」で、会場みんな、温かいものと切ないもの両方を受け取って家路についたのでした。

 

やっぱりね、本当に才能ある人ってこうなんだなと。

もう「いかに自分の才能を世にアピールしていくか」なんて1ミリも考えてないんですよね、「いかに自分の才能を使って人を楽しませるか」ってことだけ。

才能に恵まれた人って世の中に対する義務があるんですよ、それを自分のためじゃなくて人のために使わなきゃならないという。

その義務に対して誠実な姿勢というかあり方含め、やっぱり中納良恵は天才だなと改めて感じました。

そしてやっぱり、『ソレイユ』は名盤中の名盤だなってこと。

いやもちろん『窓景』も素晴らしいのですが、中納良恵作品としてだけじゃなく、日本のポップス史上に残る名作として、『ソレイユ』はちょっと他に手の届かない領域にある。

何より、よっちゃんの歌は本当にかけがえのない、その声があるだけで多くの人が幸せになれるようなもの。

「やればやるほど、音楽を作りたくてしょうがない」と話していた彼女の表現を、あの日グローブ座に集まった人たちとともに、これからもずっと愛していこうと思った夜でした。