続CM談議
佐藤「なんだよ話があるって呼び出して」
サトー「いや昨日CMの話したじゃん? あれが存外面白くてさ、続きがやりたいと思って」
佐「ハッ、そんな他愛もないことで呼ぶんじゃないよ、おれは朝活が忙しいの!」
サ「丸の内大学的な? まず夢を100個書き出してみろ的な? 気づき的な?」
佐「うるさいよ、ネタにのっかりすぎ! ……じゃあまぁお互い好きなCM・気になるCMを挙げていこうかね。先攻おれね、まずはこれでいこう」
明和地所 クリオマンション シリーズ cm - YouTube
サ「出た! 年末年始の風物詩クリオマンションの明和地所」
佐「おれ基本的にルーチン大好き人間じゃない。だから年末年始のすべてがイレギュラーになっていく感じが落ち着かなくて好きじゃないんだけどさ、その年末年始のざわつく感じをこのCMが惹起するのよ」
サ「なんかもう条件反射だよね。この歌の空気感が唯一無二だよね」
佐「そうそう、セーヌ川?みたいな映像もぐっとくるね」
サ「じゃ次は僕ね。けっこう最近のやつだね」
【CM】日本臓器製薬 肩用ラックル顆粒&ラックル速溶錠(2013年) - YouTube
佐「これかぁ。なんか外人ってのがまずいいし、表情がわかりやすすぎるのもいい。髪型とかスーツとか、ちょっと時代背景が謎なのがたまらないよね」
サ「なんかこのCMが流れるとさ、25年前くらいに戻ったんじゃないかと思っちゃうんだよ。コンテンポラリーな感じが全然しないの」
佐「90年代にさ、佐藤雅彦の出現を境にCMって劇的に変化したと思うのね。それっておれらにとってはあんまりよろしくない変化でさ、なんかオシャレクリエイター感が出てきたというかおしなべてハイソな感じになって、『やってろ』みたいな気分になっちゃうのね、昭和好きとしては。この日本臓器製薬って社名がまずすごいんだけどさ、佐藤雅彦革命以前の匂いがするよね」
サ「Yシャツもいい感じだよね、いわゆるカッターシャツって感じ」
佐「この路線来たらおれはもっと謎方面を掘り下げていこうかな。次はこれ!」
三田工業CM「コピーはmita」(DC-A2) - YouTube
サ「うわー、今はなき三田工業の阿川泰子シリーズ! いやー、『コピーは三田』のコピーでおなじみのこのシリーズ最高なんだよ、あ、シャレじゃないからね」
佐「なんか三田工業のCMって異彩を放ってたよね。ほかにもビル崩壊の画とかあってさ、世界観がわけわかんないんだけどヘンな迫力というか印象は深かったな」
サ「結構夜の9時以降に流れることが多くてさ、小学生にとってその辺ってもう深夜だからそれも相まってすごく大人な感じがした。そしてまさか三田工業が京セラに吸収されてなくなるなんて思ってもみなかった」
佐「やっぱりCMがこれだからね、経営陣はちょっと憂き世離れした変わった人だったんじゃないかな」
サ「謎の世界観路線でいくんならやっぱりこれでしょう、今もバリバリやってる」
Takemoto Piano タケモトピアノ - YouTube
佐「もうさ、どこからツッコんでいいかわからないくらい謎だらけだよな。ひとつずつ解きほぐしていこうか、まず財津一郎を起用して『◯◯ちょうだい』って言わせたかったというのはわかるんだ、うん。だけどこのダンサー陣との絡みがマジで意味わからんでしょ」
サ「ダンサーがさ、なんかちょっと暗黒舞踏入ってるというか、アバンギャルドなんだよね、そこはかとなく。そんでダンサーの女性の表情が真剣っていうか憑依系なのがたまらなく怖い!」
佐「あと単純にピアノ買い取りっていうビジネスがさ、ゴールデンでばんばんCM打てるくらい儲かるのかというのが謎だよね。なんか独自の経営理念とか哲学がありそうな会社だよね」
サ「ちょっとスピ入ってるよな。ここって関西系だよね、それもなんかわかるって感じするよね」
佐「さぁノッてきたなぁ、次はおれの番だね、じゃあこいつをリクエスト!」
アヲハタ チルドスープ スノーマン 1988 - YouTube
サ「キタ、アヲハタ! キューピーのCMって昔っからすごいよね、他にないアート感覚がある。まぁちょっとスノッブな感じがしなくもないんだが、何十年も一切ブレないっていうのはすごい、ほとんど『暮らしの手帖』だよね」
佐「3分クッキングの時にやるんだよね。ガキの頃あの番組を見れるってのは風邪で学校休んだとかやや特殊な状況に限られるわけだけど、その特別感がキューピーとかアヲハタのCMに凝縮されてた気がしてね、なんか釘付けになって観てたな。特にこのスノーマンのは印象深い」
サ「じゃあさ、なんかちょっとアート方面行ったから、最後に思いっきりネタ方面に振って終わろうか。やっぱり自分の中でこれを超える物件はないです」
佐「やっぱりこれ最高峰だよね、何回観ても笑えるというか、通り越して泣けてくるんだよ。このCM作った人って確実にアホでしょ。さっきの佐藤雅彦革命で根こそぎ葬り去られてしまったものの代表格だよね」
サ「そうそう、インテリがこういうアホなCMを駆逐したんだよ、悲しいねぇ……。まずさ、このCM要素が多すぎるんだよ、満漢全席みたくなってる」
佐「ダンプ松本という強力なキャラクターがいてさ、『マジだぜ』っていう歴史に残る級の決め台詞があるんだからさ、普通それだけで十分って思うよね。なんだけどまぁ、盛れるモンは全部盛ったというね」
サ「たこ焼きを積んだトラックがラーメン屋に突っ込むという発想がもう。小学2年生レベルだよね。ほんで言うに事欠いて『不幸中の幸い』www」
佐「なぁ? でさ、『マジだぜ』に続くダンプの喰いっぷりも面白いんだけど、何といっても『買ってよな、頼んだからな』って! それ足すかね?」
サ「さらにさらに、姉妹品の『ときたまラーメンもよろしく』だもんね。どんだけ足してんだよっていう」
佐「発想が足し算オンリーでできてるのがすごいよね、もう『アホの子か!?』ってツッコミを幾重にも入れたい」
サ「いやー、上場企業がこんなCM流してたんだからさ、30年の時の流れを感じるよね、あの頃日本はまだ発展途上国だったよね」
佐「アホすぎてノスタルジーを誘うよね。ところであの姉妹品を『◯◯もよろしく』って最後に付け足すパターン、当時は結構あったんだけどさ、母ちゃんがあれにいちいちキレてたよね」
サ「そうそう、このパターンのCMを見るたびに『この"ナントカもよろしく"言うの大嫌いじゃ、田舎くしゃあ!』って吐き捨ててたよね、どこに引っかかってんのっていう」
佐「あの人変なところに引っかかるよね、国生さゆりが出たら『ホンマ顔ができゃあなこの娘は! 原田伸郎とええ勝負じゃ』って必ず言ってた。国生ってそんなに顔でかいかなって疑問に思ってたけど」
サ「他にも平山みきが出たら『ラッキーカラーが黄色じゃけえこの人は全部黄色』とか、北の富士出たら『この人は遊び人じゃ』とか、そういう情報を必ず付け加えてくる」
佐「面白い人だよね。おかげで我々も芸能通に育ちました」
サ「無駄にね」