CMと洋楽
どうも、サトー@まくらことば&うさぎ的事情です。
えー、誰にでもCMを通じて知った音楽というのがあって、中には忘れられない名曲とか折に触れて頭の中で鳴る曲というのがあると思います。
私が少年時代を過ごした80~90年代は、今のようにタイアップがビジネスモデルとして確立される以前だったのでしょう、CMクリエイターが使いたい曲を使うという感じのものが多く、必然的に洋楽曲が今に比べてすごく多かった気がします。
あと、80年代は特に右肩上がりの総仕上げみたいな時代だったからでしょう、商品やサービスの具体的性能とか効能をアピールするよりも、イメージ戦略みたいなことがCMの中心テーマだったように思います。
なので商品のアピールから乖離した短編映像作品みたいなCMや広告が多く、子供ごころにそういったものに憧れを抱いていたものです。
かような背景により、今になって思えば、私自身の音楽体験としてCMというのは大きいなぁと思うわけです。
そこで今日は、印象深いCMソングの話。
まずはこれ、マツダペルソナ。
MAZDA PERSONA(E-MAEP)1988 マツダ ペルソナ - YouTube
ってこれ今確認してみたら、思っていた曲と違っていました!
いや僕これ、映画「バグダッド・カフェ」の主題歌「Calling You」だと思い込んでいたんですが、似てるんだけど違う曲ですね。
でもこのCM、小学校高学年のころよく流れてて、夕方とかに聴くと妙に切ない感じになったなぁ。
あ、私広島だからマツダのCMってやっぱり多かったんですよね。
だからマツダのCMって、印象に残っている作品がたくさんある気がします。
お次はこれ、日産サニー、いわゆる「トラッドサニー」の。
これは「You Never Give Me Your Money」のバージョンですが、他にも「Here, There and Everywhere」とか、「Oh! Darling」を使ったのもあったんですよね。
私が初めてビートルズの音楽と出会ったのはこの一連のサニーのCMでありまして、私にとっては人生を大きく変えた作品なのであります。
なんか今では権利の関係でCMとか主題歌にビートルズ作品をオリジナルで使えないそうで、モルツのCMで永ちゃんが「ヘイジュード」歌ってたじゃないですか、ああいうかたちでないと難しいみたいですね。*1
続いてはまたまたクルマのCMですが、これは音楽のみならず、CMとしても傑作中の傑作ではないでしょうか。日産シルビア。
1989 nissan art force silvia s13 cm japan 2.25sec ...
はい、クラシックロック不朽の名曲、プロコルハルム「青い影」ですね。
日本人の一定年齢以上の人が「青い影」を知っているのは、このCMのおかげと言って過言ではないでしょう。
しかし終盤にぶっこまれるコピーがまたすごいですね。
「美しいものには、独自の雰囲気がある」から始まる死ぬほど気合いの入った文章の数々。
今のクルマのCMってやれ燃費がリッター何キロだとか、自動ブレーキがどうだとか、ガキが着替えられるくらい室内が広いだとか、そんなことをまずは訴求しなきゃ成立しなくなってて、コピーライターもつまんないだろうなと思います。
誰かが「コピーは"準"文学だ」って言っててうまいこと言うなぁと感心したことがあるのですが、このシルビアのCMコピーなんて、まさに文学に近いですもんね。
選曲にしてもコピーにしても、バブル期のクリエイターは好き放題できて楽しかったでしょうね。
最後に、今では考えられないタバコのCMを。パーラメント、いわゆる洋モクですね。
出た、ベット・ミドラーの不滅ソング「The Rose」ですね。
これ、曲調はさておき歌詞はタバコのCMには似合わないと思うのですが、当時の私は「なんていい曲なんだろう」とうっとりしていたことを思い出します。
しかしこれまたスカしたコピーですよね、「たぶん明日も、ニューヨークが好きです」って!
まったくもって商品との関連性を感じられないのですが、このイメージこそがパーラメントの商品説明なんでしょう。
他にも印象深いCMがいくつもありますが、やっぱりバブル期のクルマとタバコのCMに名作が多い気がしますね。
バブルというと今でこそひたすら浮かれていた軽佻浮薄な時代というイメージが強いですが、これらCMのように経済的余裕を芸術性とか表現の方向に振り向けていた側面もあったわけで、その恩恵にあずかって洋楽を知るきっかけを得た私たち世代は運が良かったのかも、なんて思う次第です。
ここ20年で日本の音楽はサッカーと同じくらいレベルアップしたと思いますが、まだまだ洋楽すごいぜ、かなわないぜと、洋楽の全く売れなくなった時代に思ってみるのでした。