夢とギターの話
佐藤「最近さぁ、夜中に必ず目が覚めるんだよね」
サトー「えっ、頻尿かなんか? ハルンケア的な?」
佐「違うよ、まぁ起きたらおしっこ行きたいなというのはあっても、それで起きるんじゃない、変な夢を見て目が覚めちゃうんだ」
サ「君は奇妙な夢には事欠かない男だもんな。猟奇系の?」
佐「や、そんなんじゃないんだが、例えば昨日はね、釣りの夢だった。湖みたいなところにボートを浮かべて釣りしてるんだ」
サ「理想的な夢じゃない! そこが高原の湖でリチャード・クレイダーマンの音楽とかが流れてたら言うことないよ、『兼高かおる世界の旅』みたいじゃん」
佐「全然そんなんじゃなくて。ちなみに昔、親父に『日本で一番外国に行っている人は誰?』と質問したら、『兼高かおる』と即答したことがあったよね」
サ「そうそう、昭和の日本人の模範解答(笑)。あの頃はさ、『なるほどザ・ワールド』とか『世界まるごとハウマッチ』とか、日本人には海外への憧れというか尽きせぬ興味があったよね。……ゴメン脱線した」
佐「でね、なんか一見釣りしてるんだけど、竿を振って道糸を水面にぺしぺし叩きつけているんだ、フライフィッシングみたいにさ。そうしたらね、水面に浮かんでいる水草、いわゆるウィードが『釣れる』のよ!」
佐「そうそう、糸にからみついてきてさ、しゅるしゅると! 画的にはね、なんかドラクエのモンスターでさ、炎とかブリザードみたいなのがそのままキャラになったやついるじゃん、あんな感じよ、火炎とか凍える息を吐くスタイルの」
サ「ああ、わりと嫌な感じのモンスターだよね、いちいち戦うのも面倒でニフラムとか使いたくなる系の」
佐「そんでそれがこう道糸に絡まってきてだね、こっちに進んでくるの! もう気持ち悪くてさ、でも結構釣れるもんだから競技自体は面白くてやめられない。そんなの釣って何の得になるのかさっぱりわかんないんだけどさ」
サ「そうだよね、その行為がもはや『釣り』と言えるのかどうか、よくわからないな」
佐「で、自分で釣ってるんだけどこっちに向かってくる様があまりに気持ち悪くてさ、目が覚めたのよ。そうしたら暗闇の中で毛布とか布団がその水草モンスターに見えて、『やべぇ、ここまで迫ってきてる!』って恐怖に襲われて」
サ「それ前に書いてた虎の話と同じだね。そんでいったん落ち着いて『なんだ夢か』となるんだけど夜中の3時とかそんな時間なんでしょ?」
佐「そうなんです。……こんな感じで夜中に目が覚めることが最近ほぼ毎日で」
サ「そりゃあちょっと気の毒だね。ところでさ、君がよく見ていた『明日テストなのに全然勉強してない』系の夢は最近見ないの?」
佐「ああ、いろんなバリエーションでここ20年くらい見ているんだけど、ここ最近はそうでもないな。やっぱり"やるべきことをやってない"という焦燥があの手の夢を見させるんだろうか」
サ「そうなんじゃない? だから君があの手の夢を見ないようにさ、おれこの前ギター買ったじゃんか」
佐「そういうふうに話がつながるか。『曲作らなきゃ』焦燥を緩和する措置として、ってこと?」
サ「だってお座敷用の座右ギターだからね。全然気を遣わなくて済む安物アコギを常に傍らに置いておく、もちろんチューニングしっ放しで」
佐「値段もおもちゃに毛が生えたくらいでさ、もちろん合板なんだけど木の質感もなんか安っぽいよね、楽器というよりはニトリの家具みたいな」
サ「だけど丈夫そうでいいでしょ? 取り扱いに全く気を遣う必要ナシ。そんで思ったより鳴りが良くて音も悪くないという」
佐「ちょっとペグがへたってて特に3弦が緩みがちだけどね、まぁいいでしょうこのくらい。こういうのってパーラーギターっていうんだっけ?」
サ「そうね、少人数を相手に演奏する用途ってことらしい。でも4分の3スケールとかミニギターではなくて弦の長さは変わんないからね、普通のギターと同じだよ」
佐「頼むからこれでちゃんとコンスタントに曲作ってさ、すっきりした気分で就寝しておれに悪夢を見させないようにしてよ!」
サ「あの『寝て起きたらもう朝』っていう感覚、久しくないよねぇ。でも何となれば君の見たわけのわからん夢を書いていくだけでもこのブログ、成立するんじゃない?」
佐「ヤだよそんなの、おかしい人みたいじゃん。だいいち主旨が違うでしょ」
サ「まぁいいや、そんなわけでギターを触る頻度が増えそうな2015年です」