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布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

街の話 まとめ対談

佐藤「♪わかたか*1ぐんだん~ いやぁホークス日本一おめでとうございます」

サトー「しかしまぁ締まらん終わり方だったねぇ。守備妨害て」

佐「まぁね。野球ってのはつくづく、ルールの細かい競技だと思った。でもやっぱりリーグ優勝チームの地力が優ったってことかな」

サ「そうね、ずっと見ごたえのある試合だったもんな。さて、今日は街シリーズのまとめとして対談をやれってことなんだけど……」

佐「あのさ、海馬って知ってる?」

サ「あ、脳の器官だよね。確か認知能力を司る大事なところ」

佐「そうだね。五感を通じて人間に入ってきた刺激は、まずこの海馬で認識されるんだって。そして海馬で整理整頓されて、大脳に記憶収納されるというね。だから状況の把握に決定的に重要なのが海馬の働きなんだ」

サ「ていうことはさ、電車とかで謎のポジショニングの奴いるじゃん、たいして混んでないのにコンタクトしてきたりさ。正規のポジショニングにすればもっと奥に人が入れるじゃん、何だよ頭おかしいのかよコノヤローとかって思うんだけど、本当に彼らは頭おかしいわけだ」

佐「まぁまぁ、そうささくれだつこともないじゃん、何せ海馬はストレスに弱いからね、イライラしてたら君自身の海馬がおかしくなっちゃうよ、ミイラ取りがミイラに」

サ「じゃあさ、『あ、この人は今海馬の調子が悪いんだな』って穏やかに思えばいいわけだ、中高年のひざの痛みみたいな感じで」

佐「そうそう、大変なんだなって。でね、脳細胞ってのは年を追うごとに死滅していくだけってことになってるわけだけど、海馬については鍛えることができるらしいんだ。しかも鍛えるってのは頭の体操ってことじゃなく、フィジカルに鍛えるって意味。具体的にはジョギングみたいな軽度の持続的な運動に海馬を鍛える効果があるんだって」

サ「まじか! それはわれわれにとっては朗報だね。知らず知らずの間に脳トレまでやってたんだ。……ところで何で海馬の話してるの?」

佐「そこですよ、今日のテーマは何だっけ、街だよね。散歩ってのは海馬を鍛えるのに最適な運動なんじゃないかと思うわけですよ!」

サ「確かに軽度の持続的な運動だし、次々に新しい景色が目に飛び込んでもくるから鍛えつつ認識の実践も行える。海馬鍛錬にはもってこいだね」

佐「だから君書いてたじゃん、『ノルウェイの森』で主人公と直子が延々散歩するくだり、あれはやっぱり二人がお互いを知るうえで決定的な行為だったんだよ。歩きながら話すっていうのは、海馬がビンビンの状態になってるからね」

サ「なるほどね。確かに散歩してるときってめっちゃ思索的になるもんな。車を運転しているときもそれなりに認識能力は尖るんだけど、非常に合目的的というか、運転技能に特化している鋭敏さだからね、思索にはつながっていかない種類の」

佐「だからさ、われわれは街について唄った曲とか、街を描いた作品とかすごく好きなわけだけど、作者は絶対に街を歩いた経験からそれらを作っていると思うよ。ジャンルにかかわらず、散歩好きの作家ってのは間違いなく信用できる感じするじゃん。やっぱり海馬鍛えて作品作ってるんだよ、想像力って観察力だからね」

サ「その通りだね。やっぱりわれわれも、もっと散歩しなきゃ駄目だね」

佐「そうだよな、最近は渋谷行くくらいでもクルマだもんな、それはそれでいいんだけどさ、電車と歩きでしか見えない風景ってのがあるはずなんだよね」

サ「そうだね、歩きでしか見えない風景。そういう意味でもさ、われわれが散歩に夢中だったのが20世紀末だったっていうのはすごく幸運なことに感じられて」

佐「この20年、不景気だなんだと言われながら、やっぱり東京の再開発は相当進んだからね。あの頃までしか見れない建物や景色が確かにあった」

サ「表参道に始まり江戸川橋や大塚の同潤会アパートを見ることができたのは本当に良かった。かなり薄れた記憶だけど代官山もぎりぎり見れたんじゃないかな。他にも日比谷の三信ビル、銀座の交詢社、九段の下士官アパート……。そういった近代建築の傑作を見るのに間に合ったというのは、財産といっても過言ではないよね」

佐「ただね、そういった『古き良きもの』に触れることだけが東京の魅力ではないと思うんだ。確かに古い街並みがどんどんなくなっていくのは寂しいことだし、ときに怒りみたいなものも感じるわけだけど、変わり続けるのもまた東京の魅力だからね」

サ「この街は江戸時代、大火が発生すればそのたびにリセットされてきた。それから明治維新関東大震災、戦争、東京オリンピック、バブル、近年の再開発と2020年のオリンピック。何十年周期で街が大変化する、そのダイナミズムこそが東京という街で唯一変わらない、確かなものなのかもしれないね」

佐「東京はさ、古いものをとにかくそのまま保存することが大切な京都とはやっぱり違うんだ。いろんな人がこの街を舞台に営みを続けている、それに従って街は日々刻刻と変わり続ける。もちろんすべてが好ましい変化じゃないけど、それでも変わるってことを受け容れるのが、この街で暮らすもののルールなのかなと」

サ「だからね、今見ている景色はこの先必ずといっていいほど失われてしまうかもしれない、そういう思いを抱きながら東京の街を散歩するのがいいよね」

佐「そうだね。……やっぱり歩かなきゃ駄目だな。週末、会社帰り、ちょっと時間を作ってさ、もう一度東京散歩やろうよ」

サ「賛成、海馬も鍛えられるしね。じゃあ最後になんか曲をリクエストして締めますか。サニーデイとかシュガーベイブなんていいかしら」

佐「うん、シティポップスがいいとは思うんだ。だけどね、なんか今の自分の気持ちってちょっと違って、“街”というお題で浮かんでくるのはなぜかこの曲だった」

サ「ああ、……でもこれもある意味シティポップスなんじゃない? いや違うか、まいいんだ何でも。でもこれが聴きたいってのはすごくわかるよ。えー、ストリート・スライダーズで『虹を見たかい』」


The Street Sliders / 虹を見たかい - YouTube

*1:スタッカートで