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布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

夏の昭和歌謡大会

おはようございます、サトー@まくらことばです。

 

そうですか、cafe+gallery芝生さんは4周年ですか、おめでたいではありませんか。

4年といえば基礎固めがひと通り完了、さぁこれから何しようと希望の膨らむ時期ではないかと思います。

私が芝生さんに通うようになって2年弱ですが、それ以前から、鎖国時代でも実は徳川幕府が海外の情報をつぶさに把握していたのと同様、ADがお店を始めたらしいことは風のうわさで聞いておりました。

なんだけど、ちゃんと"手続き"を踏まないと行ってはいけないような気がしていたので、芝生デビューはしばらくお預けにしていたのです、自分に対して。

無事デビューを果たしたのち、今ではほとんどの展示を観させてもらっていますが、どれもツボをつく面白い展示ばかりで、芝生に集う皆さんと同じく、このお店で広がった世界や見識が確実にあります。

ともあれ、これからも素敵な企画を期待しております。

 

さて、毎年夏になると、昭和を振り返る系の企画が新聞やテレビであるものですが、戦争の記憶をたどることはもちろん、先祖の霊に人々が集うこの時期、自分がいま立っている場所の由来に思いを馳せるのもまた一興かと思います。

そこで今日は、以前もそんな記事があった気がしますが、時代を超えて聴き継がれていくべき昭和歌謡曲を少し紹介しようかと。

 

まずはたぶん歌手名より曲名のほうが有名であろうこの曲から。


港が見える丘/平野愛子(オリジナルシンガー)ステージ - YouTube

うーん、モダンなメロディラインが素晴らしいですねぇ。

これが昭和22年ですか、はー、完全にビッグバンドジャズの影響下にあるメロディとアレンジだと思うのですが、敗戦後わずか2年でアメリカのジャズを歌謡曲にまで変換するほどに消化していたのか、それとも戦前の遺産をもう一度ひっぱり出してきたのか、とにかく信じられないくらい洗練されていますね。

歌詞もコンパクトながらストーリー性のあるもので、随所に挿入されるオノマトペ風フレーズがいい感じです。

ちなみに横浜に実在する港の見える丘公園は、この大ヒット曲から命名されたというのは有名な話。

なんですが作者の東辰三がこの曲のモチーフとした港町は神戸だそうで。

 

次に登場いただくのは、日本におけるクルーナー唱法の先駆者、小畑実先生のこの曲。


星影の小径 / Ann Sally - YouTube

残念ながら小畑実本人の歌唱はようつべにアップされていないため、こちらも素晴らしいアン・サリーさんのヴァージョンで。

いろんな方がカバーしているしいろんなCMやドラマにも使われたりで超有名な曲ですが、オリジナルはなんと昭和25年の発売なんですねぇ。

英語詞を部分的に用いるのは日本のポップソングの定番技ですが、たぶんその最初期の例ではないかと思います「アイ・ラブ・ユー」。

これも「港が見える丘」同様、ジャズの影響が色濃い曲です。

ま、ポップミュージックの経脈をたどるとたいがいはジャズにつながるわけで当然と言えばそうなのですが、詞といい曲といい、かなり洗練されているのには驚きます、まだ敗戦後5年しか経ってないんだぜ!?

 

最後に日本が誇る最強の作詞・作曲タッグ、永六輔中村八大のこの曲。


黄昏のビギン-水原弘 - YouTube

これは前2曲からはちょっと下って1959年、昭和34年の作品です。

楽器が電化する前夜の作品ですので感触は大差ないように聞こえますが、いよいよジャズの影響を自家薬籠中の物とした日本歌謡界、ロック以前の作品として到達点ともいえる完成度ではないかと思います。

この曲が素晴らしいのは展開の意外性で、八大作品の真骨頂ともいうべき不思議なコード進行が横溢していますね。

とりわけ「傘もささずに僕たちは」からの不思議な浮遊感、それが不安定なまま「ぼやけーてーたー」まで持続したあと、一気に安定感あるAメロに着地する展開は、まさにジェットコースターのような緊張感に満ちています。

この緊張感と、永六輔の繊細すぎるほどに繊細な詞世界を統合するのは、なんといっても水原弘の甘い歌声でしょう。

水原弘の名前は知らなくても、私と同年代以上の人であれば、必ずその顔は記憶に深く刻まれているはずです、これで。

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そう、この看板が水原弘だったんですねぇ。

水原弘はけっこう波乱万丈な生き方をした人で、横山やっさん的な奔放な芸能人だったようで、42歳という若さで亡くなっています。

ただ、歌手としての実力が間違いなく本物であることは、この曲を聴けばわかるでしょう。

 

さて、本日ご紹介した3曲にはある共通点があります。

そう、後年になってちあきなおみさんがカバーしてよみがえらせた名曲ばかりなんですね。

私にとってちあきなおみは、日本歌謡曲史上最高の歌手であると同時に、昭和歌謡への水先案内人でもあります。

カラオケレベルのカバー曲があふれる昨今、往年の名曲に再び命を吹き込み、次の世代に継承する、ちあきなおみの仕事のような試みが望まれます。

ああ、世の中には知らない名曲がもっともっとあるんだろうなぁ……。