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布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

新任書記長がやってきた!

こんばんは、日曜日の夜、ブルーとの格闘はうまくいっているでしょうか、私はなぜか妙に達観したような気分でTVKの番組の音声を背中に聞きながらパソコンにむかっています、申し遅れましたサトー@まくらことばです。

 

えー、何事においてもそうなりがちなんだよなぁ、と思うことのひとつに、手段と目的が入れ替わっちゃうという現象があります。

たとえば卑近な例ですが、私は出版の仕事をしているのでその分野の話をしてみます。

出版というのはもともと、世に問いたい思想だとか知識体系、情報やグラフィックなんかが先にあって、そのパッケージとして本という物体が存在しているわけです。

つまり本というかたちで世に出したい/出すべき内容があってはじめて出版活動が起動するのであって、「本を出す」という行為は目的ではなくあくまで手段になります。

ところが、事業として出版という行為をとらえた場合、間断なく本を出し続けることでお金を回さなければ出版社は成立しないわけで、本来は手段にすぎない本を出すことが目的に転化してしまう瞬間というのがやってくる、もう必ずやってくる。

まぁこれは、事業体の継続が全ての前提条件と考えれば、一概に悪いことともいえないのですが、一度手段と目的が入れ違ってしまうと、その逆流のパワーはまさに怒涛のごとくで、ちょっと抗うことは難しい。

内容は二の次、とにかく本を出し続けてキャッシュフローを途切れさせないことが至上命題になってくるわけです。

かくして「なんでこんな本出すんだよ!」と作ってる人間も、売ってる人間も、何より読者も思っちゃうような本が世の中にあふれるようになるという次第なのであります。*1

 

この手段と目的の逆転は、本当にありとあらゆることにまつわって発生し、その当事者を望ましくない状態にもっていってしまうことがしばしばあります。

本来は手段でしかない受験が人生そのものの目的になってそこにしか照準が合わない人になっちゃうとか、スポーツ文化の発展と選手の育成を目的とした柔道連盟とか日本相撲協会みたいな組織が、組織の維持自体が目的になってしまって不正が横行するとか、枚挙にいとまがありません。

……なぜこんな話をするのか。

実はこの週末、私の中でこの「手段と目的の逆転」が発生し、どうすべきかさんざん考えた挙句、一つの策にたどりついたということがあったからです。

 

先日のライブ終了後、まくらことばはファーストアルバムを制作すべくレコーディングに入る、という話は各方面で言いふらしてきました。

そこで問題になるのはレコーディングの方法なのですが、デモ曲を集めた「枕じゃなくて招待状」の音質は、いかにも悪すぎる。*2

なのであの時の方法(安物MTRで録音~ミックスダウン~マスタリングを完結)以外のやり方を採用しなきゃいけない。

現代の主流はDAWソフトを使ったパソコンでの音楽制作なんですが、安物MTRにバンドルされてきたcubaseなるDAWソフトが私のパソコンには入っている。

ということで、録音(オーディオファイルの作成)はとりあえず前回と同様MTRで行い、そのデータをパソコンに移してcubaseで編集する――この方法なら、デモよりも高品質な盤が作れることは間違いなかろう。

こんな風に考えていて、実際ちょっとcubaseをいじってみたりもしたわけですね。

 

でね、ちょっとだけcubaseを触ってみた結論は、「これはおれに向いてない」ということで。

いや、どんなソフトだって初めは誰でも素人なわけだし、習得する努力から逃げるとは何事か、お前やる気あるんか!?という誹りを免れえないのは十分承知しているんですが、なんか気乗りしないんですよ、触ってて。*3

「わかんないからつまんない」ってのが最大の要因ってのは確かなんだけど、仮にある程度分かってきたとしても、なんか楽しくなるような予感がしない。

っていうのはね、やっぱりcubaseいじっててもね、楽器いじってるときのあの高揚感が訪れないような気がしてならないのね。

私は録音とかミックスなんかの作業は苦手だけど決して嫌いではないのね、でもパソコンいじって音を整えてく作業はどうにもしっくりこないんですよね、だってやっぱり楽器じゃないもん。

 

でね、さらにいうと、「今の主流はDAWだから」という“常識”に直面した自分が、ある種の同調圧力みたいなものに屈しているような気もしてきたのね。

いまどき何がしかのDAWいじれないと、音楽やってる資格ないんじゃないか、とさえ思うまでに。

でもね、なんでレコーディングしたいかっていうと、曲作ってバンドで演奏したものを盤というパッケージにしてみんなに聴いてもらいたいからで、いくら“常識”だろうがなんだろうが、DAWの操作を習得するために音楽やってるわけじゃない。

そう、DAWは音楽制作の手段にすぎないわけですが、いつの間にか目的と化して私の気持ちに重くのしかかっていることに気付いたわけです。

あのね、私はいま、正直言うと自分たちの手が止まっちゃうのが一番怖いわけ。

バンドなんてね、仕事でもない遊びにすぎないんだけど、そのわりには時間、情熱、お金、その他もろもろとにかく惜しみなく奪っていきますからね、ノリで突っ込んでいかなきゃ簡単に止まっちゃうし、一度停滞したバンドをもう一度転がし始めることがどんなに困難か、一応経験的に知ってるつもりなので。

とにかく手段に過ぎない部分でひっかかちゃって駒が進まなくなるのがすごく嫌なんですね。

 

ほんでね、もう一度自分たちのレコーディング要件を考えてみたんです。

①生ドラムのマルチレコーディングがやりたい。

②打ち込みはなし*4、すべて生楽器演奏の収録。

③デモより高品質に仕上げることは必須だけど、なにもプロクオリティを自力で追求する気はない。

④人にお願いするのが近道だとは分かっているけど、できればミックス以降の作業も自分たちでやりたい。

⑤曲作りやアレンジ以外の部分の負荷をあまり大きくしたくない。

……これらを満たすレコーディングの方法は何か――もうね、どう考えても若き日より慣れ親しんだMTRオールインワンってやり方しかないわけですよ。

しかし何度も言うように、手持ちのMTRでマスタリングまでやっちゃうのはデモと同じなわけで、進歩は見込めない。

となると、ある程度高性能なMTRを導入する必要がある。

とはいえこのDAW全盛時代、高性能なMTRなんて出ているのか、一時期主流だったハードディスクレコーダーが完全に駆逐されて久しいようなこの時代に……。

 

いろいろ調べましたよ、そしたらやっぱりあるんですね、2010年代にふさわしきMTRが!

24トラック、同時録音8トラック、記録媒体はSDカード、マスタリングまで完結してCDも焼けるというパソコンいらず!

そりゃ走るよね、楽器屋に。

ほんで現物みたらやっぱり欲しくなりますよ、だってMTRはパソコンとちがって完全に楽器ですもん、かっこいいんだもん!

ということで、またまたサトーは後先考えず散財してしまったわけですね。*5

最後にわがスタジオに鎮座ましますMTRの雄姿をご覧に入れましょう。

このお方が新任の「まくらことばの書記長」でございます!*6

持ち歩くにはでかくて重いですが、こいつを抱えて世田谷界隈をうろつくサトーをお見かけになっても、不審者扱いはひとつ勘弁ね。

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*1:これはあくまで一般論であって、私の仕事環境の具体的な愚痴だろうとかは邪推ですよ、ほらそこ、余計なことを言わない!

*2:音質以前に演奏がひどいだろ!という声も聞こえますが、一応ライブのためにけっこう練習したので、あの段階よりは上達してると思います、今は。

*3:気分的問題のみならず、原因不明のノイズがどうしても消えないという物理的問題もあって、その解決策のためにあれこれ奔走するのもなんだかなぁって気がしてさ。

*4:てかできない

*5:まじで支払いどうすんだろうね、おれ。

*6:下段に見える白いのが言うところの安物MTRですが、彼の名誉のために言っておくと、もともとの製品コンセプトと私のニーズがマッチしなくなったというだけの話で、これはこれでいい製品だと思うしお勧めですよ、R16。