ストレンジ・ポップ
こんばんは、まくらことばのサトス・キョウスケスです。
3日空けただけで随分サボっているような気になる私はホントにブログ書き助だと思いますが、ここ数日生業がバタバタしてたのか、いや気分だけそうだったのか、ま、そんなところでちょっと久しぶりの登場です(って全然久しぶりじゃないけど)。
さて、ツイッターの個人アカなんかで「アマに注文したCDこねーぞ」とか喚いていたのですが、本日ようやく落手いたしました。
ブツは先日鬼籍に入られたルー・リードの「ニューヨーク」で、これを最高傑作と推す声も聞かれる1989年の作品です。
早速聴いてみたわけですが、期待にたがわずカッコイイ。
絡み合う左右のエレキギターとシンプルなエイトビートに乗せて、ルー・リードは、唄ともライムともポエトリー・リーディングともとれる不思議なヴォーカルを畳み掛けていきます。
なんかこういうの聴くとね、いいメロディってなんなんだろうって不思議になるんですよ。
「ニューヨーク」に収められた曲はどれもキャッチーさとは程遠いと思うのですが、これがいいメロディじゃないかといえば決してそうではなく、聴いててすごく気持ちいいわけで。
私はビートルズ、ビーチボーイズ、バカラック、筒美京平なんかが主食の人間ですので、とにかくメロディアスなものが大好物なのですが、ルー・リードに代表されるようなクールなメロディにもすごく魅力を感じますねぇ、たとえ一緒に歌えなくても。
あとすんごいポップなんだけど、どっかおかしいというか違和感ありありみたいなのも好きだなぁ。
たとえばコレとか。
Slapp Happy - The Secret - YouTube
スラップ・ハッピーはね、ホントに不思議なポップスですよね。
一発で口ずさめるようなキャッチーさがありながら、確実にネジ一本外れてるっていうか、かじったら死なないけど痙攣しちゃうくらいの毒成分が含まれてる感じがするなぁ。
このバンドの発展型がヘンリー・カウになるのかな、でも個人的にはよりコンパクトで親しみやすいこっちのほうが好きですね。
そして不思議なポップスといえばこの人でしょう、ロバート・ワイアット御大。
ROBERT WYATT - Sea Song - YouTube
もうさ、うっとりするくらいに綺麗なメロディの連続なんだけど、全体を俯瞰してみたら奇妙に歪んでる感じがしてならない。
あの世とこの世の間、三途の川あたりではこんな音楽が流れているんだろうなぁ、確かめたことないけどそんな風に思います。
この人の音楽はもう、音もメロディも唯一無二ですよね。
そんでもってわが国からは、やっぱりこの人を挙げざるを得ない。
早川義夫のジャックス解散後ソロアルバム「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」からのキラーチューン、「無用の介」ですね。
これさぁ、わらべうたみたいなメロディと時代劇みたいな歌詞ってだけで不思議なんだけど、バックのリズムボックスがすんげぇ不気味でしょ?
早川義夫のメロディ・メーカーとしての才は、もうジャックス時代からずば抜けていましたが、ポップなんだけどどっかおかしくてひっかかる曲を作らせたらさらにすごくて、そのもっともとんがってるのがこの曲のような気がします。
と、こうしてサトーの思う「ストレンジ・ポップ」を少し挙げてみたわけですが、共通してることとして言えるのは、どれもロック/ポップスの誕生以前の記憶が色濃く感じられるということではないかと。
たとえばケルト音楽だったり、モダンジャズではないジャズだったり、古い映画のサントラだったり、童謡とか子守唄だったり。
私にとってストレンジ・ポップは、決して主食にはならないけどたまに無性に食べたくなってしまうし、これを堪能した後に王道ポップスを摂取するとさらに王道が滋味深く感じられる、そんな位置づけだったりします。
や、まくらことばにもちょっとくらいは毒を盛りたいとか思います、はい。