布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

はかない瞬間

おはようございます、サトー@まくらことばです。
冷え込みも本格化してきた朝、みなさんはどのようにお過ごしでしょうか。
私は昨日の風邪をなんとか封じ込めることに成功した模様で、いつもどおりの朝を迎えております。

さて、昨夜はバンド練習@下北沢の夜。
いよいよライブまで2週間と迫ってきたなか、本番をかなり想定した練習が行われました。
まずはライブ的な立ち位置への変更。
昨日とれた部屋がたまたま広いところだったため、ドラムの吹雪様を扇の要とし、竿モノ3人が前列に並ぶという配列で演奏してみました。
またギターアンプの位置なども左右広げて配置し、お互いの音がきれいに聴こえるようなフォーメーションに。
フロアモニターもあったため、かなりステージに近い形態でできたのではないかと思います。
この辺のこと、普段からやっとけよという話なんですが、スタジオの広さの制約などがありなかなか難しいのです。
また昨日の部屋は、マッキーのミキサーが配備されておりまして。
このマッキー、ミキサーではかなり高品質なメーカーとして知られておりまして、評判にたがわず、素直な音がどーんと通る素晴らしいモニタリングを提供してくれました。
喉をやられてあまり声の出ないサトーでしたが、昨夜はミキサーに助けられてなんとかなった、って感じでしょうか。
懸案の音量問題ですが、ようやく適正レベルが見えてきたというか、スタートラインに立ったというか。
いや遅ぇよ!な話なんですが、ここから2週間で帳尻を合わせるのが大人のスキルなのであります。

あ、サトーが鳴り物入りで持ち込んだBOSS AC-3アコースティック・シュミレーターの評判ですが、各メンバーの反応は以下のとおり。
「……うーん、まぁ練習で使うぶんにはいいけど、ま、おもちゃだよね」
「ぶはっ、なんかちゃっちい音ですねえ!」
「ああ……」
(例によってどれが誰の発言か、言わずもがなですね)
……あのね、私も冷静に考えてみたんですが、やっぱりこれはあくまで「エフェクター」なんですね。
つまり「演奏中にエレキをアコギっぽい音に変える」という趣旨の製品であり、「これがあればアコギは不要」とメーカーだって言ってるわけじゃない。
要は「これで機材が増えなくて済むぞ!」という横着な発想から手にするべきものじゃないわけですね。
こうやってサトーはまた、安くない授業料を払ってひとつ経験値を得たのでした。

それとピアノをレンタルした昨夜は、またまたドラスティックなパート替えがあった模様で。
2代目ピアニストの流麗なタッチに他の3人が驚愕している間に、代打ドラマーの指名がどこからか降ってきたんですねぇ。
練習後、「もっとピアノ弾きたい!」と叫ぶ2代目ピアニストと、「もっとドラム叩きたい!」と叫ぶ代打ドラマー。
この期に及んで混迷を極めるまくらアンサンブルですが、着地点がどうなっているのかはGod only knowsってやつでしょうか。

しかしこうやって4人集まって、あれやこれやと騒ぎながら過ごす時間の楽しさよ。
もちろんこのバンド、いま手にしているものよりこれから獲得しなければならないもののほうがはるかに多いというレベルにあることは十分承知していますし、向上心はもちろん、具体的なプランをもって練習に取り組む必要があることは痛感していますが、だからといってダメ出しの応報みたいにはしたくない。
4人それぞれ思うところはあるだろうし、いろいろやり繰りしながらこうして集まっているんだろうけど、少なくともメンバーが集まった時はいつも笑いが絶えない、(今のところ)まくらことばはそんなバンドです。

アル・クーパーボブ・ディランの名曲「Like a Rolling Stone」のレコーディングに呼ばれてオルガンを演奏しているとき、「自分がいまこの瞬間、歴史を作っていることを実感した」といいます。
私の場合、オフィシャルな歴史へのコミットという興奮ではありませんが、4人で演奏していると、自分がいま人生で最良の時を過ごしていることを実感するんです。
この瞬間がずっと続けばいいのにと思いながら、掌にすくいあげた水のように零れ落ちていく時間たち。
自分の歴史のなかでいつまでも輝いているような瞬間だとわかりながら過ぎて行く時を、どうやって表現したらいいんだろう――。
以前私はどこかで、ナンバーガールフリッパーズ・ギターを「居ながらにしてはかない」と評しました。
そしてその「はかなさ」こそが、“青春のバンド”の刻印なんだとも。
昨日私が感じたものが「はかなさ」で、もしそれが思い違いでなければ、あのとっくに終わったと思っていた青春ってやつがこのバンドには棲みついているのかもしれない――青春の残酷さも知っている年齢の私としては、「こいつはちょっとやっかいだなぁ」と思いつつ、それでも次の練習を指折り数えて待つのでした(といっても明後日なんですけどね)。