灯台守
稜線をオレンジに染めてく
あたらしい朝を見届けるころ
彼女はまだロバの夢を見てる
波にただよう船のなか
あてどなくこの広い海を駆ける旅人たちの航路を
ただ静かに照らすハーバーライト
この世界の途切れる彼方で
君はどこへ行く? 僕はここにいる
港の灯り絶えぬように
夜に降りていく彼女を見ている
言葉もない灯台守
遠い国のこと聞かせてくれないか
君がまたこの場所を離れる前に
ここではないどこかを夢見て
胸焦がすようなときもあるよ
そんな夜は静かに目を閉じて
もうひとつの世界に往く
ゆるぎないその情熱を胸に羅針盤の示す先を
ただ確かに照らすハーバーライト
時間の流れも違う場所で
君はどこへ行く? 僕はここにいる
扉に鍵はかけぬまま
明日に身を投げる彼女を受け止める
この世の果ての灯台守
帰るところはいつでもあるから
君はまたここから船を出すのだろう