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布団あります まくらことば活動日記

歌ものロック/ポップスバンド、まくらことばのブログです。

「honey dew」のこと

おはようございます、ここのところカープの調子がよく上機嫌なサトー@まくらことばです。

さて、ベース&見せ方一式担当のゆさくんと私はかなり古くからの仲なのですが、途中ブランクが15年(!)ほどあったため、一緒にいた時間は実はそんなに長くありません。
でも、不思議な縁の繋がりで昨年彼と再会したとき、それこそ15年の時間を一緒に過ごしてきたような、「ああ、全部話さなくてももう共有してるじゃん」的な空気を感じました。
それはお互い、びっくりするくらい“画”に変化がなかったということもあると思いますが、違う場所で違うものを見ながらも、やはり同じ時代を生き、相通じる感覚でいろんなものを見てきたからなんだろうと思います。

私も短くない時間を生きてきましたので、誰かと「一緒にいる」ことの尊さはよくわかっているつもりです。
同時に、「一緒にいる」ことだけが人との繋がりのかたちじゃないということが、歳をとるごとに実感されるようになった気もします。
一緒にいる時もそうじゃない時も、相手にどれだけ心を注ぐことができるか、その関係が生み出す空間(それはかたちがあったりなかったりする)を大切に思えるかどうか。
そんな気持ちさえあれば、距離に関係なく、人は繋がっていられるんだろうと思います。

でですね、まくらことばに「honey dew」という曲がありまして。
これ実はかなり古い曲で、それこそ私がハタチくらいの時に作ったものだと思います。
で、それを演奏していたのがゆさくんと一緒にやってたバンド「honey dew」というわけ。
長い間この曲にはタイトルがなかったのですが(あったんだろうけどテキトーにつけたものだから忘れた)、まくらことばのレパートリーに加えるに際して、かつてのバンド名を冠してみたわけです。
なんでこんな昔の曲を今さらやろうと思ったのかといえば、単純にいい曲だから、好きだからということなんですが、やればやるほど、この曲は未来を、つまり現在の私たちのことを歌っているもののような気がしてきました。

この曲の歌詞を書いた時のことは今でも覚えています。
当時私は、今思えば単純に「この若造が」ってだけのことなんですが、もう「この世界におれの居場所なんてどこにもないし、おれのものなんて何もない!」みたいな気分で。
たぶん何をやっても上手くいかなかった女の子方面(←今思うと上手くいくはずがない!)の現実に打ちひしがれていたのだと思いますが、とにかくまぁ「なんも思い通りにならん!」という日々だったんですね。
それは1番の歌詞によく表れているように思います。
で、私は今も歌詞を書くときは1番→2番の順番で書いていくのですが、この曲も1番を書いて2番に取り掛かったとき、ふと予備校時代に現代文の先生が言っていた話を思い出しました。
その先生は予備校講師にありがちな“はみだしインテリ”で非常に人間的魅力にあふれた方でしたが、若い頃はインドとかを放浪してたそうで。
先生が言うには、インドでは旅行者が集うような場所に、所狭しと「訪ね人」のビラが貼ってある。
それは日本人とか西洋人の旅行者が、インドに行くと言ってそのまま帰ってこなくなった人たちで、家族がそこに貼り出してあるものだそうです。
彼らが何らかの事件や事故に巻き込まれたのか、自らの意思で消息を絶ったのかは不明ですが、とにかく彼の国ではおびただしい数の訪ね人が存在する――この話を思い出した私は、次の言葉を無意識に連ねました。

行方知れずの旅人たちも
いつか同じところで出会うような
子供じみた僕の想い
空に溶けて広がればいい

なんかねぇ、1番の暗い歌詞を書いたあと、とにかく希望を歌いたかったんですよ。
それも取ってつけたようなものでカラ元気を炊き上げるのではなく、絶望みたいなものと隣り合わせにある、ちょっとした灯りのようなものが表現したかった。
いや表現したかったというより、その時の自分に一番必要だったものかもしれない。

これは、自分の書いた歌詞のなかでも一番好きなラインかもしれません。

そして、今この曲を演ってここを歌うとき、あの「子供じみた僕の想い」が実現していることに驚くのです。
さらに、あの時歌いたかった“希望”って、「この曲で人を励ましたい」とか「みんなに希望をふりまきたい」っていうものじゃなくて、「僕はこんなふうに生きていきたい」という“希望”だったんだなと。
そう歌った若い頃の自分を(キモいけど)抱きしめてやりたいし、今こうやって昔の友達と再会してバンドができてる幸運にひたすら感謝したい、そんな気持ちになります。

ただ、「子供じみた僕の想い」は決して完結したわけじゃなく。
これからまくらことばの活動を通じてどんな出会いが待っているのか、それが再会でも新しい出会いでも、楽しみで仕方ありません。
……なんか、やっぱり、バンドっていいよね。